従来4L V8ツインターボを搭載していたC63が、新型では2L 直4ターボにプラグインハイブリッドを組み合わせ、駆動方式も初の4WDを採用。パワートレーンを一新した新世代を象徴するAMGモデルにいち早く試乗した。(Motor Magazine 2023年2月号より)

アクセルを踏み込めば、望むトルクを瞬時にゲット

「C63S Eパフォーマンスの開発ではエンジンのサウンドデザインにも注力しましたが、完成した音色はもちろんV8とは異なります。したがって、従来のC63を愛してきた方の中には、新しいサウンドにがっかりする方がいるかもしれません。それでも私は、レスポンスに優れた加速感や4WDの走りといった面を含めて、C63オーナーの99%が直列4気筒のサウンドを受け入れてくれると信じています」

画像: ベースとなるCクラスより全長、全幅が拡大。タイヤの大径化でホイールベースも10mm伸びている。

ベースとなるCクラスより全長、全幅が拡大。タイヤの大径化でホイールベースも10mm伸びている。

これは2022年9月に行われたメルセデスAMGのラウンドテーブルにおいて、チーフテクニカルオフィサーを務めるヨッヘン・ヘルマン氏が語った言葉だが、とても誠実でフェアな姿勢だと思う。

ちなみに、C63S Eパフォーマンスの国際試乗会に参加した私は、そのサウンドに大いに魅了された。たしかに、かつてのv8のように「ドロロロロロ・・・」という大音量を発するわけではなく、
エキゾーストサウンドは抑制的だが、高い精度感を秘めた「シュワーッ!」という抜けのいい音色は極めて魅力的。率直にいえば、従来のV8よりも近未来的かつ知的で好ましいと思ったくらいだ。

変わったのはエンジンサウンドだけではない。先代C63Sに搭載されていたV8もレスポンスは良好だったが、新型はそれをはるかに上回るレベルで、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間、望むだけのトルクを瞬時に手に入れることができる。これは後車軸上に搭載されたモーターの効果であると同時に、2L 4気筒エンジンに通常のターボチャージャーと電気式スーパーチャージャーを組み合わせた恩恵でもある。

この結果、システム全体では先代を上まわる680psと1020Nmを生み出すが、AMGパフォーマンス4MATIC+を介して4輪に伝達されるため、トラクション性能は後輪駆動だった旧型をはるかに凌ぐ。おかげでサーキット走行では、コーナー出口でやや強引にアクセルペダルを踏み込んでもリアがアウトに逃げることなく、安定した姿勢を保ったまま迫力ある加速を堪能できた。

強大なパワーを持ちながら、スムーズな乗り心地も両立

フロントにエンジン、リアにモーターを搭載したプラグインハイブリッドシステムのことを、メルセデスAMGは「P3ハイブリッドコンセプト」と呼んでいる。その最大の特徴は、エンジンとモーターのパワーを合算してから4輪に伝達するため、必要とあらば1020Nmのトルクを4輪に均等に配分することも、リアの2輪だけに配分することもできる点にある。

画像: パワートレーンは先代の4L V8ツインターボから一転、2L直4ターボ+PHEVに変更され、C63初の4WDを採用する。

パワートレーンは先代の4L V8ツインターボから一転、2L直4ターボ+PHEVに変更され、C63初の4WDを採用する。

単純にフロントはエンジン、リア/はモーターだけが駆動する既存のハイブリッドシステムとはまったくの別物なのだ。

さらにエンジンを4気筒にしたおかげで、ノーズの動きは旧型に対してはるかに軽快。加えて、前後の重量配分が50対50に近づいた結果、タイヤのグリップが失われそうになるサーキットでの限界走行でも、カウンターステアで素早くグリップを回復できる特性を得ている。しかもグリップが失われる過程がドライバーに克明に伝えられるため、サーキットではタイヤのパフォーマンスをフルに生かした走りが楽しめるようになった。

一方、一般道ではしなやかな足まわりがスムーズな乗り心地をもたらしてくれるうえ、前述のとおり静粛性が高く、快適性の点では旧型をはるかに凌ぐ。とりわけ、補強材などの追加でボディ剛性が大幅にアップした点が印象的で、おかげで足まわりに大入力が加わっても、その振動を瞬時に収束させる良好な減衰特性を得ていた。

しかも、パワートレーンは低速域でも従順で扱い易く、高速道路では余裕あるパフォーマンスを発揮。さらには直進性が良好なうえに高速域でのフラット感も良好だったので、ロングクルージングにも不満なく使えることだろう。

ドライブトレーンを一新したことで一段と洗練の度合いを高めたC63S Eパフォーマンスは、まさに新世代のAMGと呼ぶに相応しい仕上がりだった。(文:大谷達也/写真:メルセデス・ベンツ日本)

メルセデスAMG C63S Eパフォーマンス主要諸元

●全長×全幅×全高:4842×1900×1458mm
●ホイールベース:2875mm
●車両重量:2165kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1991cc
●最高出力:350kW(476ps)/6750rpm
●最大トルク:545Nm/5250-5500rpm
●モーター最高出力:150kW(204ps)
●モーター最大トルク:320Nm
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●EV走行距離:13km
●タイヤサイズ:前265/35R20、後275/35R20

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