上質なフィーリングの直6ディーゼルエンジン
超絶、優雅な気分にさせてくれる現行レンジローバーの乗り味から想像しても、先代のレンジローバー スポーツの走りを見ても、新型レンジローバー スポーツに対しては「絶対に裏切られない感」しか抱いていなかった。そして実際に試乗してみたら、期待値以上の「ラグジュアリーパフォーマンスSUV」であった。
平たくいえば、名前のとおり、レンジローバーをよりオンロード志向としたコンセプトなわけだが、ちょっと意匠を変えたとか、サスペンションのチューニングを変えたとか、そんな小手先の変更には留まらない、オリジナリティ溢れるモデルに仕上がっている。
エクステリアは、最新のレンジローバーのデザインコンセプトである、「余計なものを削ぎ落とした」もの。キャラクターラインはほとんど見られないが、丸みが感じられ張りのあるサーフェスはモダンであり、スポーティで、確固たるアイデンティティがある。中でも薄いヘッドライト、同じく細いフロントグリルが特徴的だ。
走り始めたファーストインプレッションは、フットワークがレンジローバーより少しマッシブな印象だが、良い意味でのまったりというか、有機的しなやかさは損なわれていない。乗車後即、シートマッサージを設定。もう、何百kmのドライブだって怖くないってくらい、すぐにクルマとシンクロできてしまうのだ。
そして、助手席の編集スタッフに尋ねた。「このエンジンは、ディーゼル?」。トルクフルなフィールはディーゼルっぽいが、静かで振動がなく滑らかな回転フィーリングはとてもディーゼルとは思えなかったからだ。そして搭載されていたのは、3L 直列6気筒インジニウムディーゼルターボエンジンだった。
質感の高いディーゼルエンジンはうれしい限り
ちなみに、ディーゼルとすぐに認識できなかったのは、インパネを覗き込んでもタコメーターがなかったせいもある。これも追々試してみたところ、ステアリングスイッチでさまざまなレイアウトを選ぶことができ、タコメーターを表示させることもできた。まぁ、でも、その必要はないかな。
最高出力221kW(300ps)、最大トルク650Nmのパフォーマンスは十分に力強い走りを堪能できる。その後、ワインディングロードなどでちょっアクセルペダルを多めに踏み込んで加速し、エンジン回転が上昇していく際のサウンドは確かにディーゼルと認識したが、それにしてもこんなに上質なディーゼルエンジンはそうそうない。
限定モデルのファーストエディションはガソリンエンジンを搭載するが、カタログモデルは現状、ディーゼルエンジンのみ。ランドローバーももちろん電動化を宣言しているが、充電インフラの遅れている日本においてはまだ内燃機関に頼らざるを得ない状況もあり、質感の高いディーゼルエンジンは嬉しい限りだ。
その電動化も念頭に開発された最新のアーキテクチャーが採用され、ねじれ剛性は先代モデルより35%向上しているという。褒め言葉で「大きさ重さを感じさせない」というが、このクルマは良い意味でそれを感じさせる。高速道路を走っていても、この、威風堂々とした走りは、コンパクトカーからは醸し出せない雰囲気だから。