電気自動車(BEV)DS3クロスバック Eテンスを1年ほど長期レポートしてきたが、そのなかで気になったのは、電動車の個性はどこにあるのかということ。ここからは少し嗜好を変えていくつかのモデルをレポートしていきたい。今回はプジョー e-208GTだ。(第2回/Motor Magazine 2023年4月号より)

高速道路を走ればわかる走る持ち良さ

プジョー3D iコックピットを構成するパーツ、小径ハンドルを採用していることも理由のひとつかもしれないが、比較的重めに設定されている操舵感もあって、ハンドリングはセンターから剛性感あるものとなっている。

しかも、スポーツモードを選択すればパワーステアリングの効き具合を変更してもう一段重いハンドリングにすることができるのだ。シートポジションを少しハンドルに近づければ、これだけで臨戦態勢に入ったような気分だ。

画像: ボディカラーがパールホワイトだとあまり目立たないものの、「GT」系のフロントグリル表面はボディ同色になっている。

ボディカラーがパールホワイトだとあまり目立たないものの、「GT」系のフロントグリル表面はボディ同色になっている。

街中を走っているときは少し硬いかなと思った足まわりも速度を上げていくほどに馴染んで緩やかなロール感を味わわせてくれる。ボディ剛性の高さとの相性が抜群に良い足まわり、そして風切り音も少なくモーター駆動で静かにコーナリングしていくシーンはネコ科の動物が疾走する様を連想、ああこれが「BEV時代のネコ足」なのかなと思ったりもした。

マンホールや路面の継ぎ目など段差の多い街中を低速域で走っているだけでは、e-208 GTの本当の良さは見えてこない。もしプジョーの販売店で試乗する機会があったら、ぜひ高速道路走行ルートを試乗コースに含めてほしい。インターチェンジやジャンクションのコーナーでも愉しさをきっと体験できるはずだ。

WLTCモードで395km、実際の航続可能距離は300kmを超えそうだ

今回のレポートを終えたいま気になってるのは、同じくプジョーのBEVでクロスオーバーSUVであるe-2008GTは、どんな個性を持っているのかということだ。今後、長期レポートに登場することを期待しよう。

画像: 標準装着する17インチホイールの基本デザインはICE搭載モデルと同じだが、こちらは部分的なカバーを装着する。

標準装着する17インチホイールの基本デザインはICE搭載モデルと同じだが、こちらは部分的なカバーを装着する。

さて、2023年1月から2月初旬にかけて約2400km走行した電費を計算してみると、約5.6kWhという結果となった。この数値を見て「2022年4月の仕様変更によって電費効率は向上しているはずなのに、これでは車両重量が80kg重いDS3 Eテンスと変わらないではないか」と気づいた読者もいるかもしれない。

数値だけ見れば確かにそのとおりだが、電費を悪化させた大きな要因がある。今回のテスト期間はエアコン作動によって大きな電力を消費しやすい冬季、しかも1月末に日本列島を襲った「最強寒波」の影響を受けて、電費も大きく悪化してしまったのだ。あまりの寒さに耐えられず、長時間にわたってエアコンとシートヒーターをダブルで作動させていたことが原因だと思われる。

では、年間をとおしての電費はどれほどのものになるのだろうか。実はその調査を兼ねて空調をはじめとする快適機能をあまり使わずに1週間のテスト走行をしており、このときの電費は約6.4km/kWh、航続可能距離に換算すると320kmとなる。これを長いとみるか短いとみるかは使用環境によって異なるが、四季をとおしてもこの数値から大きく変動することはなさそうだ。

さて、e-208のレポートは今回で終了、この原稿を書いている今はすでに新たなモデルでのテストを開始しているので、こちらはまた次回にお届けしよう。

第2回/2023年1月24日〜2月9日(2カ月目)のデータ
・オドメーター:4285km
・当月の走行距離:1097km
・充電量:約193.0kWh(充電メーター換算値)
・電費:約5.68km/kWh
・充電回数:9回(内、200V普通充電を5回/急速充電を4回)

プジョー e-208 GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm
●ホイールベース:2540mm
●車両重量:1500kg
●モーター:交流同期電動機 ZK01型
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●バッテリー総電力量:50kWh
●WLTCモード航続距離:395km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:205/45R17
●車両価格:512万4000円(2023年5月現在)

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