XFとは違う造形で、よりハイレベルな高級感を演出
写真だけを見て、クルマのスタイリングについて語るのはよくないと改めて感じた。ジャガーXJの写真を初めて見たとき「XFによく似ているな。これではフラッグシップとしての面目が保てないのでは・・・」と思ったのが正直なところ。しかし、今回、実車を目の前にして驚いた。チーフデザイナーのイアン・カラムさんには、素直に「ごめんなさい」と言いたい。
まずボディ全体から醸し出される迫力に圧倒される。XJはXFより165mm長く25mm幅広く5mm低いのだが、とてもその程度の差には思えない。ひとまわりも、ふたまわりも大きく感じる。ちなみにこのクラスでは最近、アウディ A8が新しくなったが、その全長は5137mm、全幅は1949mmでXJを上回るが、見た目の印象ではXJの方がかなり大きく感じる。
フロントからリアにまわるとさらに驚く。XFとはまったく違う造形で、よりハイレベルな高級感を演出しているのだ。XFのリアエンドが左右に伸びるスポーティなイメージなら、XJは上下に展開する有機的なラインで、ラグジュアリームードを高めている。
このスタイリングを目の当たりにすれば、ジャガーの伝統的なデザインを愛していた人たちも、その良さを認めざるを得ないのではないだろうか。アストンマーティンから移籍したイアン・カラムがまず手がけたのがXK、そしてXF、今回XJを仕上げて完成させたジャガーの新たなラインナップは見事と言うしかない。
さて、ニューXJは従来モデル同様にアルミ製モノコックボディを採用、さらにフロントエンドにはマグネシウムを採用するなどで、軽量化に磨きをかけている。車重は今回試乗したプレミアムラクシュリーで1850kg。アルミ製スペースフレーム構造を採用するニューアウディ A8と同レベルだ。
インテリアも洗練されている。空間の広がりを非常にうまく使っていて、メリハリがあるのだ。ドライバーズシートはあえてタイトにしてスポーティムードを高める一方、ダイヤル式シフトセレクターがあるセンターコンソール部分は幅を広くとることで、よりよい操作性と見た目の豪華さも演出するという具合だ。
また、斬新なのは全面液晶のメーターパネルだ。まるでゲーム機のようではあるが、ダイナミックモードにするとメーターリングが赤くなるなど、ドライバーに伝えるメッセージを直感的でわかりやすくすることに貢献する。