2010年春、ジャガーXJが劇的な変貌を遂げて日本上陸を果たした。歴史あるブランドほど革新にためらいはないと言われるが、その激変ぶりは衝撃的だった。果たして新型XJ(X351系)はどのように受け入れられたのか。ここでは上陸間もなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年6月号より)

進化したアルミボディの恩恵でしっかりとした走行フィール

エンジンは従来の4.2Lから5Lへとスープアップ、385psの自然吸気版と、470ps/510psの仕様があるスーパーチャージャー付きの計3種を用意する。トランスミッションはこれまでと同じ6速AT。BMW 7シリーズやアウディ A8のようにZF社製の8速AT採用とならなかったのは惜しまれるところだ。

足まわりで特徴的なのは、フロントにコイル、リアにエアサスペンションを採用している点だ。これによってリアシートの快適性を損なわずに、スポーティでダイナミックなハンドリング性能を実現したという。また、エンジンの出力特性やトランスミッションの変速スピード、トラクションコントロールなどを総合的に制御するジャガードライブコントロールは全車標準装備する。

画像: ジャガーはそもそもスポーティなクルマであるが、インパネまわりのデザインはまるでスポーツカーだ。

ジャガーはそもそもスポーティなクルマであるが、インパネまわりのデザインはまるでスポーツカーだ。

今回の試乗会は横浜みなとみらい地区をベースに行われたので、十分な走り込みはできなかった。しかし、市街地でのストップ&ゴーと都市高速での走行だけでも感じられたことはいくつかあった。

まず何よりも印象的なのはクルマが軽いということだ。これはアルミモノコックボディの恩恵だろう。従来モデルも軽快感があったが、ボディ剛性がアップしたためだろうか、軽快さとともに乗り心地に曖昧なところがなくなり、しっかりとした印象だ。また、今回は試す機会はなかったが、ハイスピードでのコーナリングでは前後重量バランスの良さ(前51:後49)も感じられるに違いない。

排気量アップとともに直噴化されたV8エンジンは、高回転までよく回りトルクの出方に大きな山はなくフラットな印象だ。8速ではなく6速ATであることは燃費の問題はさておき、都市部での走行フィール上は何らデメリットを感じさせなかった。

さて、高速道路やワインディングロードでのドライビングは次の機会に譲るが、今回の試乗だけでも言えるのは、ジャガーXJの総合力は相当に高いということだ。まず斬新で優雅なスタイリングはひとクラス上の豪華さを感じさせるし、軽量ボディと新世代直噴エンジンなどで実現した走りの良さも光る。

さらに価格設定も非常にリーズナブルだ。ドイツのプレミアムブランドも、うかうかしてはいられない。そして、もしこのクルマのことが気になるのなら、ぜひ実車を見てみることをおすすめする。(文:Motor Magazine編集部 荒川雅之/写真:永元秀和)

ジャガーXJ プレミアムラクシュリー 主要諸元

●全長×全幅×全高:5135×1900×1455mm
●ホイールベース:3030mm
●車両重量:1850kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4999cc
●最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
●最大トルク:515Nm/3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●最高速:325km/h
●車両価格:1150万円(2010年当時)

This article is a sponsored article by
''.