坪井翔が自身初のポール・ポジション獲得
今回、ランキングトップの野尻智紀(TEAM MUGEN)肺気胸を患い欠場。チャンピオン争いを繰り広げているライバル勢にとっては大量ポイントを獲得したいところ。なお、野尻の代役は大津弘樹が担当することになった。
コース上でのオーバーテイクが難しいオートポリスでは予選の順位が重要となるため、各車ポジションを少しでも上げようとプッシュしていく。そんな中、前回鈴鹿でポールポジションを獲得した大湯都史樹(TGM Grand Prix)がQ1敗退。そして野尻の代役を務める大津もアタック中にクラッシュするなど、Q1から波乱の展開となる。
ポールポジションを争うQ2では坪井が最速タイムをマークすると、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が区間タイムを更新しながら快走。しかしセクター3でタイムが伸びずポール奪取ならず。最終的に坪井のタイムを上回るドライバーは現れず、坪井がスーパーフォーミュラで自身初のポールポジションを獲得した。
2位にはタイムを更新したローソンが入り、3位には坪井のチームメイトである阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)がつけた。第3戦で優勝した宮田は4番グリッドを獲得。絶対王者の野尻不在の中、チャンピオン争いをする3名が2列目までに集結した。
2023年 スーパーフォーミュラ 第4戦 予選結果(Q2)
1. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 1'26''187
2. リアム・ローソン(TEAM MUGEN) 1'26''361
3. 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING) 1'26''474
4. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S) 1'26''480
5. 福住仁嶺(ThreeBond Racing) 1'26''508
6. 山下健太(KONDO RACING) 1'26''521
7. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 1'26''668
8. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 1'26''762
9. 松下信治(B-Max Racing Team) 1'26''852
10. 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 1'27''064
11. 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING) 1'27''092
12. 小高一斗(KONDO RACING) 1'44''559
不利な状況を跳ね返したローソンが今季2勝目
決勝は晴天の中41周で行われた。ポールポジションの坪井と3番グリッドの阪口が好スタートで、P.MU/CERUMO・INGINGの2台が1-2体制で1コーナーに進入。2番グリッドのローソンは、阪口に2位のポジションを譲ることになってしまったが、トップの2台が並んで1コーナーへ入っていくところを冷静に判断し無理せず3位で1コーナーを抜ける。このスタートで大きく順位を上げたのが14番手スタートの大湯、オープニングラップを終えると8位にまでジャンプアップする。
大きなアクシデントもなくレース序盤は膠着状態のまま進んでいく。タイヤ交換義務が消化可能となる10周目に入っても上位勢には動きはなかったが、7番手走行の牧野がまずピットへ。3番手ローソンはその3周後にピットへ向かい、TEAM MUGENの素早いピット作業もあって牧野の前、ピットストップ組のトップでコースに復帰する。
このローソンの動きに反応した阪口が翌周ピットインするも、ピットアウトした阪口よりも前で1コーナーに入ったローソンがアンダーカットを成功させる。一方、トップの坪井と2位宮田はステイアウトを選択し周回を重ねる。
早めのピットストップを敢行したローソンはステイアウトしている最後尾に追いついてしまいタイムロスを喫するが、先頭の坪井もタイヤが厳しくなりペースダウン。ペースの良い2位の宮田が迫る中、坪井は25周目にピットへ向かう。ピットアウトしたポジションはローソンの後ろとなったが、坪井は新しいタイヤでローソン攻略を目指し背後につける。
そして30周目にアクシデントが発生。後方からポジションを上げていた大湯がジェットコースターストレートエンドで阪口にアウトから並びかけ接触してしまう。大湯はグラベルでストップし鈴鹿に続いてのリタイヤとなった。このアクシデントでSCが出動し、ステイアウトしていた宮田はこのタイミングでピットイン。ローソン、坪井の後ろの3位でコースに復帰する。SCによりトップとのギャップが詰まった中、上位3台で1番タイヤの状態が良い宮田にとっては2連勝の可能性が高まる。
レースが残り8周で再開されると、トップのローソンがリスタートを決め逃げる。しかし2位につける坪井はペースが上がらずトップとの差が徐々に開きはじめる。3位のポジションから連勝を目指す宮田は残り4周で坪井をオーバーテイクし2位に浮上、その後もタイヤの厳しいローソンよりも速いペースで追いかけるが、短い周回数では追撃は叶わず。最後はローソンがトップの座を守り切り今季2勝目を挙げた。2位は宮田、終盤に山下健太(KONDO RACING)の猛攻を抑えきった坪井が3位に入っている。
早めにピットインを決断したローソンにとっては、前戦鈴鹿と同じ展開で厳しいレースとなったはずだ。しかし、スタートでの冷静な判断やリスタートを成功させるなど、勝負を分けるポイントをしっかりと押さえていた。追い抜きが難しいオートポリスでは、タイヤの優劣が生まれたとしても、前でレースを進める方がチャンスが大きいという、コース特性も加味したTEAM MUGENの作戦は見事結果に結びついた。
SCが出たことについてもローソンからネガティヴな発言は出ておらず、本人の中ではあの状況でタイヤをセーブすることができたという意味でポジティブに捉えていたのかもしれない。レース運びからコメントまで、全てにおいてレース巧者ぶりを見せつけたリアム・ローソン。ルーキーがランキングトップでシーズンを折り返した今シーズン。宮田に坪井、そしてディフェンディングチャンピオンである野尻を含めたチャンピオン争いから目が離せない。
2023年 スーパーフォーミュラ第4戦 決勝結果(上位10名)
1. リアム・ローソン(TEAM MUGEN)41周
2. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)+1.255
3. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)+5.264
4. 山下健太(KONDO RACING)+5.569
5. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+6.556
6. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+12.181
7. 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)+14.442
8. 福住仁嶺(ThreeBond Racing)+18.391
9. 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)+20.989
10. 国本雄資(Kids com Team KCMG)+22.023
2023年 スーパーフォーミュラ ドライバーズランキング(第4戦終了時点)
1. リアム・ローソン(TEAM MUGEN) 57
2. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S) 53
3. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 46
4. 野尻智紀(TEAM MUGEN) 41
5.平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 28
6. 山下健太(KONDO RACING) 25
7. 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING) 11
8. 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING) 10
9. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)8
10. 福住仁嶺(ThreeBond Racing)8
2023年 スーパーフォーミュラ チームランキング(第4戦終了時点)
1. TEAM MUGEN 89
2. VANTELIN TEAM TOM’S 52
3. P.MU/CERUMO・INGING 47
4. KONDO RACING 30
5. ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 28
6. TCS NAKAJIMA RACING 21
7. TGM Grand Prix 9
8. DOCOMO TEAM DANDELION RACING 8
9.ThreeBond Racing 6
10.Team KCMG 5
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