タイヤの能力を把握して堪能できる奥深き走り味
X4 Mはもちろん4WDだから、アクセルペダルを踏み込んだ際も安定感を保ったまま加速していくが、M4 CSLはリア駆動なのでそのパワーを持て余す。条件が揃えば0→100km/h加速を3.7秒で駆け抜けることができるが、ホイールスピンをいかに抑えるかが課題となる。
タイヤは前275/ZR19 100YXL、後285/30ZR20 99YXLのミシュラン製パイロットスポーツカップ2R★を履く。適度に温まった状態だと強烈なドライグリップを発揮するが、ゴムが冷えている時のグリップ力はスタッドレスタイヤより心細いから、右足のペダルワークには気を付けなくてはならない。
M4 CSLはあくまでも軽量化を目指したコーナリングマシンだ。M4コンペティション(4WD)に対して160kgも軽いのだから、単なる直線の加速力を競うのではなく、コーナリングも含めた総合的な速さを追求したのだと思う。ニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)ではBMWの市販車最速タイム7分20秒207をマークしている。
ワインディングロードでの走りはドライ路面ではタイヤのグリップ力に助けられ、ほとんどがオンザレールの状態で走れるのは他のM4と同じだ。それでも少し攻めて行こうとした際のターンイン時やハンドルを切り足したときの反応はリニアで、他のM4とは格が違う。ボンネットを開けたときに見える強靭な補強ブレースも効いているのだろう。
最高出力が向上したのに最大トルクを発生するトルクバンドは標準モデルより広がり、日常運転もまったく苦にならない。乗り心地は車速が高いほど快適になる。オドメーターの距離が伸びてくるに連れて当たりの角が取れ、サスペンションストロークも出てきて、いい感じになっていった。サーキットだけでなく、一般道でも飽きないマシンである。(文:こもだきよし/写真:永元秀和)
◇撮影協力:シャトー・メルシャン椀子ワイナリー◇
BMW M4 CLS主要諸元
●全長×全幅×全高:4805×1920×1385mm
●ホイールベース:2856mm
●車両重量:1630kg
●エンジン:直6DOHCツインターボ
●総排気量:2992cc
●最高出力:405kW(550ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5950rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTPモード燃費:9.9-10.1km/L
●タイヤサイズ:前275/35R19、後285/30R20
●車両価格(税込):2196万円
BMW X4 Mコンペティション主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1925×1620mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:2020kg
●エンジン:直6DOHCツインターボ
●総排気量:2992cc
●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5950rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・65L
●WLTCモード燃費:9.1km/L
●タイヤサイズ:前255/40R21、後265/40R21
●車両価格(税込):1366万円
ハイパフォーマンスワゴン登場。日本初デビューのM3ツーリング
2023 年 1 月 20 日発表の「M3 コンペティション M x Driveツーリング」はいま新たな注目を集める存在だ。M モデルの主力を担うM3 & M4 シリーズのニューフェイスであり、多用途性に富む使い勝手も大いなる魅力だ。高性能 3 眼カメラ&レーダーなどによるハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能も標準装備する。右ハンドルの 8 速 AT 仕様のみで車両価格はセダンの 12 万円高となる1398.0 万円。パワートレーンなどの仕様はセダン版と共通だ。