BMWのスポーツ性を突き詰めた存在として、多くの憧れを集める<M>モデル。少数生産の特別な限定仕様車では、注文を受付けてもらうことですら簡単ではないそうだ。今回、幸運にも日本への割り当て台数25台というM4 CSLを取材する機会に恵まれた。(Motor Magazine 2023年6月号より)

本領を発揮させるために順を追って正しく整える

今回、M4 CSLを取材させてもらうにあたり、オーナー氏には「2000kmの慣らし運転が済んでエンジンオイル交換後にお借りしたい」とわがままを言った。 

画像: M4 CSLのエンジンルームには、ボディ剛性をさらに強固なものとするアルミ鋳造製の補強ブレースを装着。エンジンはターボのブースト圧が標準の1.7バールから2.1バールに高められている。

M4 CSLのエンジンルームには、ボディ剛性をさらに強固なものとするアルミ鋳造製の補強ブレースを装着。エンジンはターボのブースト圧が標準の1.7バールから2.1バールに高められている。

新車時のエンジンオイルは慣らし運転用で、粘度が低くサラサラ系の仕様なので高回転まで回るが、それゆえトラブルを起こす可能性もあるからだ。通常のBMW車は、初回エンジンオイル交換の基準が15000km走行時なのでオイルの質の心配は要らない。

だがMモデルはサーキット走行対応のエンジンなので、最初はていねいに慣らし運転をした方がいい。 とは言え、2000kmまでの慣らし運転時でもエンジン回転数のリミットは5500rpmなので、通常走行での不自由はない。

エンジンオイル交換後のM4 CSLを借り、オドメーターが2900kmを超えるところまで走った。この時はオーナー氏に頼まれて高速慣らし、つまりエンジンを高回転型にするための手順を踏んでマニュアルモードで走行した。

具体的にはインパネ右下のエンジンオイル温度計が80度C以上を指していることを確認してから、3速以上ではエンジン回転数が3000rpm以下にならないように走る。1速で発進してすぐに2速へ。4000rpm以上に上昇したらシフトアップして3速、というように次のギアへ繋ぐと3000rpm以上をキープできる。

車速が下がっても3000rpm以下にならないよう左手パドルでシフトダウンしていく。ただし2速では低い車速でエンジン温度が上昇するのを嫌うため3000rpm以下も許容される。シフトアップ時はたまに6700rpmから始まるイエローゾーンのそばまで引っ張ってみる。アクセルペダルは徐々に踏み込むていねいな操作だ。

こうして距離を重ねていくと高回転まで回りやすくなっていき、エンジン自らが回りたいと要求してくる感じになる。この状態までくると、エンジンの回転音やエキゾーストノートが綺麗なサウンドへと整ってくる。2250rpmと4500rpmのところで共鳴してやや大きな音になるが、逆にそれを感じられれば、タコメーターを見なくてもおおよそのエンジン回転数がわかるようになる。

4500rpmを超えてから6500rpmまでの直列6気筒エンジンならではの「芯が出た回転」を感じる音と、高回転での滑らかなバイブレーションが気持ち良い。取材に同行したX4 Mコンペティションも、この回転上昇時のサウンドと芯が出て振動が小さくなっていく様子は同じだ。ただM4 CSLの方がドライバーの近くにエンジンがある感じだ。音の大きさと、レスポンスの良さも手伝ってドライバーとの一体感がより強く生まれている印象だ。

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