2010年3月のジュネーブオートサロンでアウディRS 5がワールドプレミアされた。“RS”の名が冠したアウディのホットモデルとして初のクーペボディとなるものだった。Motor Magazine誌はその試乗記を、ポルトガルで行われた国際試乗会からレポートしている。今回はその模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年5月号より)

まるで後輪駆動車のようなドリフト走行まで可能だ

このRS 5をサーキットへ持ち込むと、その走りの真価がさらに明らかになる。とくにオプションのスポーツデファレンシャルはコーナリング中の後輪外側に回転力を与えるというメカニカルなトルクベトリングを行うので、驚くほどのコーナリングスピードでもアンダーが出ず、同時にステアリング修正をする必要もない。またコーナーではスロットルを調整しながら、まるで後輪駆動車のように安定したドリフト走行まで可能で、アスカリサーキットの最終コーナーでの速度は140㎞/hに達するなど、すっかりスポーツ走行を楽しませてもらった。

画像: ドライブセレクトを標準装備。スロットルやステアリング特性などをダイナミック、オート、コンフォートのいずれかに設定できる。

ドライブセレクトを標準装備。スロットルやステアリング特性などをダイナミック、オート、コンフォートのいずれかに設定できる。

自然吸気の4.2L V8エンジンはこれまでどおり高回転コンセプトに基づいて設計されている。しかし旧モデルと比べるとわずかながら出力とトルクが向上している。また重量は1725kgとわずかに増加したが、アウディの発表では燃費は向上している。また、Sトロニックによるギアシフトは素早く、そしてショックもなくほとんど完璧といえる。

RS5 はスポーティな運転を楽しませてくれるだけでなく、環境への配慮も忘れていない。たとえばブレーキエネルギー回生システムが搭載され、オイルポンプは必要な時だけ作動し、ジェネレーターは加速時には切り離される。

しかし、アイドリングストップ機構は採用されなかった。アウディの開発担当エンジニアは「よく考えたのですが、アイドリング時にも素晴らしいサウンドで存在を示しているスポーツエンジンを、赤信号の度に止めてしまうのは残念なことです。このエンジンを理解するスポーツドライバーはきっと他のセッションにおいて、信号待ちで排出する以上のCO2を低減する走りをしてくれるに違いありません」と実利的な答えをしていた。

このRS 5は5月からドイツ市場において注文が受け付けられる。ベース価格は7万7700ユーロ。日本向けの価格、そして販売のスケジュールは未定である。(文:木村好宏)

アウディRS 5 主要諸元

●全長×全幅×全高:4649×1860×1366mm
●ホイールベース:2751mm
●車両重量:1725kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4163cc
●最高出力:331kW(450ps)/8250rpm
●最大トルク:430Nm/4000-6000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:4WD
●最高速:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:4.6秒
※EU準拠

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