1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、イタルデザイン ナツカ M12だ。

イタルデザイン ナツカ M12(ITALDESIGN NAZCA M12:1991)

画像: フロントにキドニーグリルを備えるがBMWのためのコンセプトカーではなく、イタルデザインの少量生産車だった。

フロントにキドニーグリルを備えるがBMWのためのコンセプトカーではなく、イタルデザインの少量生産車だった。

スーパーカーを紹介するときに、カロッツェリアといえばピニンファリーナやベルトーネ、そしてデザイナーといえばマルチェロ・ガンディーニが登場する機会が多いのだが、かつては一世を風靡し、現在はランボルギーニがブランド権を取得している「イタルデザイン」も忘れてはいけない。

1991年のジュネーブ モーターショーで、ジョルジェット・ジウジアーロが率いるイタルデザインがナツカ M12を発表した。流麗なボディにミッドシップ搭載されたパワーユニットは、BMW 850iに搭載されていた5LのV12 SOHC。ここで重要なポイントは、このモデルがBMWへデザインスタディとしてアプローチしたモデルではなく、イタルデザイン本来の姿であるカロッツェリアによる、ぜいたくな少量生産車として発表されたことだ。

デザインを手がけたのは、イタルデザインの総帥ジョルジェット・ジウジアーロの長男であったファブリツィオ・ジウジアーロ。カロッツェリアの総帥として、また父親として後継者たるファブリツィオを、この世界に紹介する重要な役割をナツカ M12は果たした。

ボディは、カーボンケブラー製のモノコック。サスペンション形式は前後ともダブルウイッシュボーンで、しかもリアにはプッシュロッドタイプの横置きダンパーを採用し、それを電子制御で可変させた。さらに当時のF1マシンにも採用されていたブレンボ製のブレーキキャリパー&フローティングディスクに18インチのアロイホイールを装着するなど、当時全盛を誇っていたグループCのレーシングカーを彷彿とさせる基本構成だった。

ナツァレノ・ガブリエッリのフィニッシュによる本革フルトリムのインテリアは、BMW 850iから譲り受けたメーターパネルや各種エレクトリックモニターなどによって、きわめて高い快適性を実現していた。公称の最高速は300km/h以上、0→100km/h加速は4.2秒とレーシングカー並みのパフォーマンスを発揮し、イタルデザインの存在感を見せつけた1台だった。

画像: ドアは普通のスイング式だが、ガラスルーフ部分がガルウイング式に開閉する。

ドアは普通のスイング式だが、ガラスルーフ部分がガルウイング式に開閉する。

イタルデザイン ナツカ M12 主要諸元

●全長×全幅×全高:4365×1990×1105mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1100kg
●エンジン種類:60度V12 SOHC
●総排気量:4988cc
●最高出力:300ps/5200rpm
●最大トルク:45.9kgm/5100rpm
●燃料:無鉛プレミアム
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前235/40ZR18、後295/35ZR18

画像: amzn.to
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