労働力の不足と自然災害に対応するために効率性・強靭性を強化
2023年6月14日付けで、経済産業省商務情報政策局情報経済課アーキテクチャ戦略企画室 室長名を付して公表された資料が「デジタルライフライン全国総合整備計画の検討方針について」という文書だ。これは、2023年4月に開催された第13回デジタル田園都市構想実現会議において、議長である岸田文雄首相によって策定が指示された。
人口減少、過疎問題といったエリア格差が進む中でも、自動運転やAIを利用したライフサポートの恩恵を全国で公平にいきわたらせることを目指して、ハード/ソフト/ルールの3つの側面から官民で集中的に大規模な投資を行う取り組みについて、検討する方針を明らかにしている。
その中で早期実現に向けて検討が示唆されているのが、モビリティ分野におけるデジタルサービスの早期実装であり、自動運転車などによるトラフィックサポートの最適化とともにそのメリットを積極活用したサービス提供という、ふたつの観点からの検討だ。
背景にあるのは、人口減少による労働力不足の深刻化と、激甚化する自然災害という課題に他ならない。文書の中ではそれらに対応するために、「人・物の移動の効率性・強靱性を一層確保する必要がある」と述べられている。
そのために検討が求められているテーマのひとつが、最適な輸送サービスをデジタル化&標準化することによって自動的に効率的に選択・提供する仕組みとなる「共同輸配送システム=フィジカルインターネット」の実現、ということになる。
●フィジカルインターネットとは(「デジタルライフライン全国総合整備計画の検討方針」から抜粋)中長期的に人口が減少する中、更なる物流効率化を進めていくためには、
①デジタル化により物資や倉庫・トラック等の物流情報等を見える化し、
②標準化された容器に詰められた貨物を、
③複数企業が共同で活用できるネットワーク(フィジカルインターネット)
の構築が重要