さまざまな趣味の相棒となる車を探すと、1ナンバーが装着される普通貨物自動車の存在が浮かび上がってくることがある。その中でも最近、気になるのがこの2モデルだ。果たしてグラディエーターとデュカトには、どんな夢を載せてみることができるのだろうか。(Motor Magazine2023年7月号より)

普通運転免許で1ナンバー。細かな運転条件は要確認

これまで、自動車ライターとしていろいろな企画を担当してきたが、「1ナンバー縛り」というテーマは今回が生まれて初めてだ。

画像: 1ナンバー車とは普通貨物自動車。乗用車を見慣れた目には巨大に映る。(左:ジープ グラディエーター ルビコン、右:フィアット プロフェッショナル デュカト バン L2H2)

1ナンバー車とは普通貨物自動車。乗用車を見慣れた目には巨大に映る。(左:ジープ グラディエーター ルビコン、右:フィアット プロフェッショナル デュカト バン L2H2)

ちなみに「1ナンバー車」とは普通貨物自動車のことで、ざっくりと説明すると4ナンバー(小型・軽貨物自動車)の条件である「全長4.7m以下/全幅1.7mm以下/全高2.0m以下」をどれかひとつでも上回っている車体サイズで、エンジンの総排気量がガソリンでもディーゼルでも2Lをこえており、貨物を輸送するのに適した構造を備えたクルマを指す。

なるほど、ジープのグラディエーターとフィアット プロフェッショナルのデュカトバンは、乗用車を見慣れた目には巨大に映る。

まず、ジープラングラーにピックアップトラックのような荷台を取り付けたグラディエーターは、ボディサイズが5600×1930×1850mmで、排気量は3.6L(ガソリン自然吸気エンジン)。「キャビンより荷室の方が広い」「キャビンと荷室の間に隔壁または保護仕切りを備えている」といった貨物自動車の要件も満たしており、1ナンバー登録となる。

もう1台のデュカトバンはさらに巨大で、もっとも小さい仕様の取材車(L2H2)でも5410×2050×2525mmと全長、全幅、全高のすべてが小型貨物自動車の枠を越えている。ディーゼルターボエンジンの排気量も2.2Lで、普通貨物自動車の要件も満たしていることから、こちらも1ナンバーでの登録となる。

ところで、こんな巨大な2台を目の当たりにして、まず心に浮かび上がったのが「自分の運転免許証で、こんなに大きなクルマを運転できるのか?」という疑問だった。ちなみに、いまから40年近く前に普通運転免許証を取得した私は、免許の条件等のところに「中型車は中型車(8t)に限る」と記された中型運転免許となっている。この部分は、2007年6月1日以前に普通運転免許を取得した方であれば、誰もが同じ内容となっているはずだ。

主として、キャンピングカーのベース車として導入されるモデル

この免許で運転できるクルマは車両総重量8t(トン)未満、積載量5t未満、乗車定員10名以下と定められている。グラディエーターはそれぞれ2850kg/250kg/5名、デュカトバンL2H2は3490kg/1300kg/2名と自動車検査証に記されているので、私はどちらのクルマでも運転が可能だと判断できる。

画像: 筆者の大谷達也さん。自動車評論家としての長い経歴に対して、1ナンバー縛りの記事執筆は初体験だとか。

筆者の大谷達也さん。自動車評論家としての長い経歴に対して、1ナンバー縛りの記事執筆は初体験だとか。

ちなみに先に記した「免許の条件等」は普通運転免許を取得した時期によって内容が異なるのだが、2017年3月以降の取得でも車両総重量3.5t未満、積載量2t未満、乗車定員10名以下のクルマであれば運転できるので、グラディエーターとデュカトはどちらも大丈夫。ただその場合、デュカトバンL2H2の車両総重量は許される条件の枠にギリギリだ。

ちなみに取材車はデュカトバンでもっとも小型のL2H2という仕様なので枠内に収まったが、L3H2(ロングホイールベース版、全長5995mm)やL3H3(+全高2765mm)では車両総重量が3.5tを越えるかもしれないので、その場合は少なくとも17年3月11日以前に普通運転免許証を取得した方に与えられる「5t限定準中型免許」が必要。自分が取得した免許で運転できる条件と車両総重量、積載量、乗車定員については要確認事項である。

ところで、配送業務などにふさわしそうなデュカトバンだが、実は主として、キャンピングカーに改装するベース車とするために導入されるモデルだという。このため、正規輸入元のステランティスジャパンは、キャンピングカーの架装などを行う全国5社をフィアット プロフェッショナルのデュカト正規ディーラーとして認定して、販売をスタートさせている。

試乗車は、そのベースであるバン仕様の状態である。ちなみに、本格的なキャンピングカーとして架装されたデュカトは1ナンバーの「普通貨物自動車」ではなく、8ナンバーの「特種用途自動車」として登録することができる。

大型車・特大車ではない1ナンバー車は、高速道路料金の車種区分が中型車となるので、通行料金は乗用車よりも高い設定が適用される。だが自動車税や自動車重量税の金額は、乗用車よりも1ナンバー車の方がはるかに安い。

また車検については、車両総重量8t未満のモデルなら初回は2年間有効で、それ以降は1年ごとの検査となる。また自賠責保険、任意保険の金額は、貨物自動車ゆえ走行距離が多いという前提などから、乗用車よりも高い設定だ。

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