ライフスタイルを変える可能性へのチャレンジ
さて、もう1台のグラディエーターはデュカトバンに比べると、着座姿勢やハンドリングがはるかに乗用車的。日本仕様は、本格的なオフロード性能を備えるルビコンのみの導入なので、タイヤはゴツゴツとしたマッド&テレインタイプとなる。
このため低速域では乗り心地がざらついているほか、巡航時には「ヒーン」というタイヤノイズが聞こえてくるけれど、これらを除けば乗り心地もハンドリングも思いのほか乗用車的だ。しかも、高速道路走行時の直進安定性がラングラールビコンを大きく凌いでいたのは意外だった。
おそらく、ラングラーより480mmも長い3490mmのロングホイールベースが、高速直進性の向上に寄与しているのだろう。
ルビコンを名乗るだけに、そのオフロード性能は第一級だ。4対1の副変速機付きで、さらにディファレンシャルギアをフロントとリア、あるいはリアのみロックさせられる“ロックトラックフルタイム4×4システム”を装備。さらに電子制御式のフロントスウェイバー(=スタビライザー)ディスコネクトシステムも備える。
それゆえ、フカフカの砂地などもあっけなく走破してみせた。マリンスポーツの相棒としても最適だろうし、モタード(オンロード仕様のオフロードバイク)を積んでみた姿も、実に似合う。アクティブなライフスタイルにぴったりなクルマであることは、間違いない。
グラディエーターもデュカトもドライバー視点からの見切りが優れているので、大きなボディサイズのわりに、意外と不自由しない。
これまで経験できなかった時間を手に入れるために1ナンバー車にチャレンジしてみるというのも一興かもしれない。オーナーのアイデア次第で、新たな可能性を生み出す源ともなりうるのだから。(文:大谷達也/写真:永元秀和)
ジープ グラディエーター ルビコン主要諸元
●全長×全幅×全高:5600×1930×1850mm
●ホイールベース:3490mm
●車両重量:2280kg
●エンジン:V6DOHC
●総排気量:3604cc
●最高出力:209kW(284ps)/6400rpm
●最大トルク:347Nm/4100rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・83L
●ADRモード燃費:8.0km/L
●タイヤサイズ:LT255/75R17
●車両価格(税込):960万円
フィアット プロフェッショナル デュカト バン L2H2主要諸元
●全長×全幅×全高:5410×2050×2525mm
●ホイールベース:3450mm
●車両重量:2080kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:21844cc
●最高出力:132kW(180ps)/3500rpm
●最大トルク:450Nm/1500rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・753L
●WLTPモード燃費:11.0-10.5km/L
●タイヤサイズ:225/75R16CP
●車両価格(税込):512万5000円