さまざまな趣味の相棒となる車を探すと、1ナンバーが装着される普通貨物自動車の存在が浮かび上がってくることがある。その中でも最近、気になるのがこの2モデルだ。果たしてグラディエーターとデュカトには、どんな夢を載せてみることができるのだろうか。(Motor Magazine2023年7月号より)

ライフスタイルを変える可能性へのチャレンジ

さて、もう1台のグラディエーターはデュカトバンに比べると、着座姿勢やハンドリングがはるかに乗用車的。日本仕様は、本格的なオフロード性能を備えるルビコンのみの導入なので、タイヤはゴツゴツとしたマッド&テレインタイプとなる。

画像: ルビコンを名乗るだけに、そのオフロード性能は第一級。(ジープ グラディエーター ルビコン)

ルビコンを名乗るだけに、そのオフロード性能は第一級。(ジープ グラディエーター ルビコン)

このため低速域では乗り心地がざらついているほか、巡航時には「ヒーン」というタイヤノイズが聞こえてくるけれど、これらを除けば乗り心地もハンドリングも思いのほか乗用車的だ。しかも、高速道路走行時の直進安定性がラングラールビコンを大きく凌いでいたのは意外だった。

おそらく、ラングラーより480mmも長い3490mmのロングホイールベースが、高速直進性の向上に寄与しているのだろう。

ルビコンを名乗るだけに、そのオフロード性能は第一級だ。4対1の副変速機付きで、さらにディファレンシャルギアをフロントとリア、あるいはリアのみロックさせられる“ロックトラックフルタイム4×4システム”を装備。さらに電子制御式のフロントスウェイバー(=スタビライザー)ディスコネクトシステムも備える。

それゆえ、フカフカの砂地などもあっけなく走破してみせた。マリンスポーツの相棒としても最適だろうし、モタード(オンロード仕様のオフロードバイク)を積んでみた姿も、実に似合う。アクティブなライフスタイルにぴったりなクルマであることは、間違いない。

グラディエーターもデュカトもドライバー視点からの見切りが優れているので、大きなボディサイズのわりに、意外と不自由しない。

これまで経験できなかった時間を手に入れるために1ナンバー車にチャレンジしてみるというのも一興かもしれない。オーナーのアイデア次第で、新たな可能性を生み出す源ともなりうるのだから。(文:大谷達也/写真:永元秀和)

ジープ グラディエーター ルビコン主要諸元

●全長×全幅×全高:5600×1930×1850mm
●ホイールベース:3490mm
●車両重量:2280kg
●エンジン:V6DOHC
●総排気量:3604cc
●最高出力:209kW(284ps)/6400rpm
●最大トルク:347Nm/4100rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・83L
●ADRモード燃費:8.0km/L
●タイヤサイズ:LT255/75R17
●車両価格(税込):960万円

フィアット プロフェッショナル デュカト バン L2H2主要諸元

●全長×全幅×全高:5410×2050×2525mm
●ホイールベース:3450mm
●車両重量:2080kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:21844cc
●最高出力:132kW(180ps)/3500rpm
●最大トルク:450Nm/1500rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・753L
●WLTPモード燃費:11.0-10.5km/L
●タイヤサイズ:225/75R16CP
●車両価格(税込):512万5000円

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