ユーザーからの要望に応えて小出力から電動化を進める
──ということは、パワープロダクツ事業部がやるべきことは、これまでより明確になったということでしょうか。
鶴薗氏 「会社としては電動化に向かって前進していきますが、人々の生活を豊かにするパワープロダクツの分野は裾野が広く、同じ製品でも、使われ方、使われる場所によって、求められるものが変わってきます。電動化が求められている分野ではそれに対応しますし、世界中でエンジンを使った作業機を必要としているお客様に向けては、よりよいエンジンやそのエンジンを使った完成機を提供していかなければなりません」
■Hondaの主なパワープロダクツ事業
ホンダのパワープロダクツ事業では汎用エンジンのOEM供給のほか、この汎用エンジンを搭載したさまざまな完成機、および電動製品を展開している。
![画像: ▶︎電動パワーユニット:高い信頼性で支持されている汎用GXエンジンを電動化した2kWクラスのeGX。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/06/27/106f45bc72c5196def266d8c11f623720fc0c23f.jpg)
▶︎電動パワーユニット:高い信頼性で支持されている汎用GXエンジンを電動化した2kWクラスのeGX。
![画像: ▶︎発電機:エンジンを動力源として電気を作るホンダの発電機は市場からの評価が高い。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/06/27/2da0280b278bf7d38dc4bb8a92c94cd8338cfc9e.jpg)
▶︎発電機:エンジンを動力源として電気を作るホンダの発電機は市場からの評価が高い。
![画像: ▶︎ロボット芝刈機:電動で自走して自動で芝を刈り取るミーモ。自ら戻って充電して作業を繰り返す。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/06/27/438fe71e8cc49fb083269962e32b54276a9b25a7.jpg)
▶︎ロボット芝刈機:電動で自走して自動で芝を刈り取るミーモ。自ら戻って充電して作業を繰り返す。
![画像: ▶耕うん機:本格的な農業から家庭菜園まで、用途に応じたさまざま機種を展開して人気。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/06/27/222a4b5654292430321b91cec53abfcbf0f1bb3e.jpg)
▶耕うん機:本格的な農業から家庭菜園まで、用途に応じたさまざま機種を展開して人気。
──電動事業開発本部というのは、四輪、二輪、パワープロダクツのそれぞれの分野で電動化に携わっていた人材がここに集結したということでしょうか。
鶴薗氏 「そうですね、それまでそれぞれの担当していた分野で電動化に携わっていた人材が集結しており、さらにスピード重視で企画・開発できるものと期待しています」
──求められる分野のパワープロダクツ事業の電動化をビジネスにするというのは、具体的にはどういうことなのでしょうか。
鶴薗氏 「グローバルでのパワープロダクツ事業の6割から7割が汎用エンジンのOEM供給なのですが、OEM先のメーカーも小さな出力のものから電動化を進めようとしていますので、我々もまずは小さなものから汎用エンジンを電動モーターに置き換えて行くように事業を進めています」
──汎用エンジンを電動化するには小さい方から進めたほうがスムーズなのですね。
鶴薗氏 「そうですね、たとえば船外機を想像していただければわかると思いますが、大出力のV6や直4エンジンに代わるような電気モーターはまだ現実的ではありませんが、湖や池などで使う小型船舶では、音が静かで、空気や水を汚さない電動化はメリットが大きく欧州などで普及が始まっています。また、OEM先のお客様からも小さいエンジンから始めたいという要望もあります。そうしたことに応えるのが自然の流れということなります」
──パワープロダクツ事業は、耕うん機や芝刈機、除雪機、船外機、発電機、蓄電機、汎用エンジンといったさまざまな分野の製品を扱っていますが、それぞれの製品をいつまでに電動化するといったロードマップはありますか。
鶴薗氏 「環境対応の切り札として電動化はもちろん大切ですが、生活や仕事の動力源としてホンダのパワープロダクツを必要として下さるお客様のニーズに応えることがもっとも重要ということを意識しながらロードマップを描いています。具体的には、まずは芝刈機Miimo(ミーモ)のようなガーデン商品や小型建機用のパワーユニットから着手しています」
──最後に、今後のパワープロダクツ事業の目標はどのようなものでしょうか。
鶴薗氏 「大変革の時代の中で、社員それぞれが事業の中で夢を持って、自分の成し得たい夢は何かをひとりひとりが考え、それを実現していく。その個の力の集合体がホンダの力になると考えています。ホンダのパワープロダクツは、世界約150カ国の販売ネットワークを通じた完成機の販売に加え、1200社以上の作業機メーカーに汎用エンジンを供給しています。パーツ供給やアフターサービスもていねいに行って、人々の生活の役に立ってきました。パワープロダクツは『技術で人々を幸せに』というホンダの原点そのものにもっとも近い事業です。この事業に責任と自信を持って、今後も社会やお客様の要望に応えられるように準備をしていきます」
──たしかにパワープロダクツはホンダの原点に近い事業ですね。今後も注目しています。本日は、ありがとうございました。