この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第8回目は、戦後のそれまでオースチン車のノックダウン生産を続けていた日産自動車が、昭和35年に「ニッサン」ブランドを世に問うた「セドリック」だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

ライバル車を引き離す豪華装備も自慢だった。

画像: 昭和36(1961)年10月のマイナーチェンジでヘッドランプが横型4灯式に。38年2月には2.8ℓ直6OHVエンジン(K型)を搭載した「スペシャル」も追加された。

昭和36(1961)年10月のマイナーチェンジでヘッドランプが横型4灯式に。38年2月には2.8ℓ直6OHVエンジン(K型)を搭載した「スペシャル」も追加された。

装備の充実もセドリックならではの美点で、「デラックス」にはヒーター、ラジオ、時計などが標準装備される。とくにラジオはアンテナ/バッテリー/スピーカーを内蔵していて、車載時には12V電源に接続して自動車ラジオとなり、専用キーで取り外せば車外に持ち出せるポータブルラジオとなるアイデアで注目された。またオプションでヒーター/クーラー両用のダッシュタイプエアコンも装着可能で、エンジンブロックにあらかじめコンプレッサー取り付け用の穴が設けられるなど、ライバル車を寄せ付けない将来のグレードアップを見越した準備にも怠りがなかった。

グレード体系は、当初「1500スタンダード」と「1500デラックス」の2タイプをラインナップした。昭和35(1960)年11月には、翌年4月の施行を控えた小型車規格改正に対応した「カスタム」を追加。全長とホイールベースをそれぞれ100mm延長した当時の国産車中最大のボディに1.9ℓ直4OHVのH型エンジン(88ps/15.6kgm)を搭載し、助手席バニティミラー/リアシートピロー/後席用ヒーターなどを備える豪華仕様だった。昭和36(1961)年3月にはエステートワゴンと商用車のバンを発売している。

画像: 昭和35(1960)年11月に追加された「カスタム」。全長とホイールベースを各100mmずつ延長した当時の国産車最大級のボディに、88psを発生する1.9ℓのOHVエンジンを搭載。

昭和35(1960)年11月に追加された「カスタム」。全長とホイールベースを各100mmずつ延長した当時の国産車最大級のボディに、88psを発生する1.9ℓのOHVエンジンを搭載。

同年5月には、1.5L車と共通のボディに1.9Lエンジンを搭載した「1900デラックス」を追加。10月に2度目のマイナーチェンジを実施して、ヘッドランプが横型4灯式に変更される。同時に「1900スタンダード」を追加した。昭和38(1963)年2月には、全長を4855mm、ホイールベースを2835mmに延長し、当時国内唯一の2.8ℓ直6OHVのK型エンジン(115ps/21.0kgm)を搭載する「スペシャル」を追加した。戦後、苦労して乗用車造りを学んできた日産自動車が、いよいよ本格的な高級セダンを作り始めたという意味で、記念碑的な一台と呼ぶことができるだろう。

セドリック主要諸元

●全長×全幅×全高:4410×1680×1520mm
●ホイールベース:2530mm
●重量:1195kg
●エンジン型式・種類:G型・直4 OHV
●排気量:1488cc
●最高出力:71ps/5000rpm
●最大トルク:11.5kgm/3200rpm
●トランスミッション:34速コラムMT
●タイヤサイズ:6.40-14 4PR
●新車価格:101万5000円

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