ポルシェ ボクスター(2012年:3代目フルモデルチェンジ)
新型(タイプ991)911の走りのテイストが飛躍的なまでに進化を遂げたことを知ったとき、当然「新型(タイプ981)ボクスターの進化」もある程度予想はできた。しかし実際に乗ってみると、あらためてこう思った。「まさかこれほどまでとは!」
そんな感動レベルの走りの実力を味わわせてくれた新型ボクスターだが、3代目にして初めて大きな変貌を見せたそのルックスもトピックのひとつ。フロントセクションの基本構造は今回も911と共通だ。すなわち、新型は大幅な軽量化を意図して、多くの部分でアルミニウム化を実行。ボディシェルの46%以上がダイキャスト、もしくはプレスによるアルミニウム製で、その他にもマグネシウムや高張力鋼を採用し、高い剛性を重量を抑えながら確保された。それゆえ、安全性や装備を充実させ、パワーもアップしたにも関わらず、車両をダウンさせたのも、新型911の場合と同様のフレーズだ。
一方で、そんな基本構造の共通化は継承をしつつ、今回初めて専用化が図られたのがドアパネルのデザイン。強い絞り込みがエアインテーク部分へと続き、ミッドシップ車ならではのダイナミズムを表現。これまで合理性向上の目的で911と共通デザインのアイテムを用いてきたが、そうした努力が功を奏しての昨今の業績好調ぶりにいたり、こうしたところに専用パーツを採用するという余裕をもたらしたと解釈してもいいはずだ。
快晴の下、気温も最高20度程度と、まさにオープンカーのテストドライブにあつらえたような環境の南フランスで開催された国際試乗会では、3.4Lの排気量を踏襲したボクスターSのMT/PDK仕様車と、2.9Lから2.7Lへのダウンサイジングを行いつつ、新たにSグレードと同様の直噴システムを採用したボクスターのPDK仕様車を試乗した。