日本市場でツーリング初のMモデルが誕生した。それがM3ツーリングだ。ハイパワーなコンペティションのみの設定だが、 BMWのツーリングモデルならではの使い勝手をそのままに、M3セダン譲りの圧倒的な走行性能が魅力である。(Motor Magazine2023年9月号より)

つい高回転まで回したくなる刺激的フィール

反時計回りで針が上がっていくタコメーターは、細かい目盛りを読み取るのは難しいが、これは大雑把に見ていれば問題ない。6800‐7200rpmがイエローゾーンで、7200rpmからがレッドゾーンだ。ヘッドアップディスプレイでも大体読める。

画像: M3コンペティションに搭載されるハイパワーユニットS58B30A型は車両重量増をものともしない。

M3コンペティションに搭載されるハイパワーユニットS58B30A型は車両重量増をものともしない。

でもここまで引っ張らないでシフトアップしていった方がターボエンジンでは加速は鋭い。最高出力は6250rpmで、最大トルクは2750-5500で発生するから、6300-6500rpm辺りでシフトアップすると次のギアでトルクゾーンを長く使って加速できる。7200rpmまで引っ張るとトルクも低下し、最高出力のピークを過ぎているから実は効率が悪くなるのだ。

それでも高回転まで回したくなる気持ちはわかる。回転数が上がるにつれ直列6気筒の各気筒の爆発が連続していくかのように聴こえてくる。オクターブが上がるようにエキゾーストノートも盛り上がってくる感じは愉しめる。

運転席の前には大きなカーブドディスプレイがあり、スピードやタコメーターはドライブモードを選ぶことによって変えることができる。スポーツモードやトラック(サーキット)モードではスピードも回転数も単純な表示になって見やすい。インパネでタイヤの温度と空気圧もチェックできるようになったのは朗報だ。

M3ツーリングは普段は3シリーズツーリングとして便利に使い、ときにはサーキットのマシンと化して愉しむというライフスタイルが実現できるクルマだ。(文:こもだきよし/写真:永元秀和)

BMW M3コンペティションM xDriveツーリング主要諸元

●全長×全幅×全高:4805×1905×1450mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1870kg
●エンジン:直6DOHCツインターボー
●総排気量:2992cc
●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTCモード燃費:9.8km/L
●タイヤサイズ:前275/35R19、後285/30R20
●車両価格(税込):1398万円

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