正式な価格発が発表される2023年9月20日を前に、BYDの国内導入モデル第二弾となるコンパクトBEV「ドルフィン」の試乗会が開催された。ごく短時間の試乗ではあったが、小さなクルマと電動化技術の相性の良さを、改めて実感することができた。

使いこなすのが楽しくなる、スマートなパワーフィール

見た目やコクピットの印象と同様に、ドルフィンの走りはとても親しみやすいものだった。運転していてストレスを感じさせない。さまざまな意味で「フィット感」に富む。

画像: 適度な包まれ感が生み出すスポーティ感は、ドライバーの気分をしっかり盛り上がてくれる。ステアリング操作やペダル操作に加え、時刻などの外部状況を含めて運転車の疲労度を検知する「ドライバー注意喚起機能(DAW)」を備える。

適度な包まれ感が生み出すスポーティ感は、ドライバーの気分をしっかり盛り上がてくれる。ステアリング操作やペダル操作に加え、時刻などの外部状況を含めて運転車の疲労度を検知する「ドライバー注意喚起機能(DAW)」を備える。

走りはじめからハンドルの操舵感はナチュラルで、スピードを上げていくにつれてほどよい手ごたえとともに適正な接地感を伝えてくれる。ECOPIA EP150は専用チューニングでこそないものの、不快な振動成分やノイズを巧みに抑えた乗り味を実現している。

街中でのコーナリングや交差点を曲がる時など、日常的に挙動の素直さが実感されるのも平均的なドライバーにとってはセールスポイントになりうるだろう。

床下に駆動用バッテリーを配することによる低重心化による姿勢のフラット感はもちろんだが、前後方向の重量バランスにも優れているように思えた。2WDなので複雑な駆動力制御などは介入していないはずだが、回頭感は極めてスムーズで落ち着いている。もしかするとBYDが「8 in 1」と呼ぶ、統合型電動アクスルによる恩恵があるのかもしれない。

腕に覚えがあるドライバーにとっては、アクセルペダルの踏み込みにリニアに反応する、軽快なダッシュ力が魅力だろう。コンパクトなボディと200ps超の電気モーターとの組み合わせは、十二分に力強い。走行モードはNORMAL/ECO/SPORTと切り替えることができるが、NORMALでもゆとりを持って流れをリードすることができる。

興味深いのは、トルクの立ち上がりや速度の伸びが全域できわめて自然でスムーズなところ。減速時の回生も驚くほどよどみなく、ブレーキング時の違和感を覚えることはほとんどなかった。

すべてが、街乗りでの扱いやすさにつながっている。もしももうちょっと刺激が欲しいかな・・・と感じたなら、SPORTモードを試してみるといい。アクセルコントロールに対するダイレクト感が明らかに変わる。

ほんのさわり程度しか乗れなかったけれど、70kW仕様(車重は160kgも軽い)でも動力性能的に不満を感じることはなかったことをお伝えしておこう。昨今、BEVの世界でもハイパワーぶりを強調するモデルは少なくないけれど、得てして持て余し気味。ドルフィンなら、その持てるポテンシャルをしっかり使い切った気分になれそうだ。

もちろんそれは、走りの楽しさに限ったことではない。無駄を廃したサイズ感、ちょうど良い+アルファの広さなど、普段使いも含めてクルマが持つ才能を「もれなく使いこなす」のはきっとこの上なく楽しい。

幼児置き去り検知システムを採用。安心感も全方位でサポート

最後に、できれば「もれなく使いこなす」ことがないほうが良いけれど、やはりついていると心安らかになれる安全支援システムの充実ぶりをお伝えしておこう。

画像: デザインは「海を自由に泳ぐイルカを表現」。街中を駆け抜けるドルフィンの姿は確かに、生き生きとしている。とくに特徴的なダブルウエストラインのデザインは、生命が持つ躍動感を明快に表現したものだという。

デザインは「海を自由に泳ぐイルカを表現」。街中を駆け抜けるドルフィンの姿は確かに、生き生きとしている。とくに特徴的なダブルウエストラインのデザインは、生命が持つ躍動感を明快に表現したものだという。

カメラはADAS専用マルチカメラ1基に全方位ビュー兼用を含めた合計5基を装備。さらにミリ波レーダーが5つ、超音波センサーが8つ配され、全方位を監視する。各種制御に関しては欧州サプライヤーのシステムを採用しているそうだ。

アダプティブクルーズコントロール(ACC)は、速度0~120km/hの間でレーンキープアシスト機能(LKA)を組み合わせるとともに、緊急時にハンドル操作をアシストする緊急時レーンキープアシスト機能も備えている。ちなみに通常時のLKAは介入が穏やかな印象で、あまりでしゃばってこないところが個人的には気に入った。

ADASとは別建てのサポート機能となるが、日本市場においても実にタイムリーな新しい支援システムが幼児置き去り検知システム(CPD)だ。これは、車内のルーフ部前後2カ所に設置されたミリ波レーダーが、車内に残った生体を検知した時、ライトの点滅とホーンによって車外に通報してくれるもの。一定時間、対応がない場合には、自動的にエアコンを作動させるというから、まさに至れり尽くせりと言えるだろう。

正式な価格発表は2023年9月20日。さまざまな意味でコストパフォーマンスが優れたBEVというと日本には日産サクラ&三菱eKクロス EVがあるけれど、BYDドルフィンはコンパクトカークラスにおける「新たなBEVスタンダード」として、多くのユーザーに受け入れられることになりそうだ。(写真:伊藤嘉啓)

■BYD ドルフィン Long Range 主要諸元【】内はスタンダード

全長×全幅×全高:4290×1770×1550mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1680【1520】kg
パワートレーン:フロント1モーター
最高出力:150kW(204ps)/5000-9000rpm【70kW(95ps)/3714-14000rpm】
最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4433rpm【180Nm(18.4kgm)/0-3714rpm】
最小回転半径:5.2m
駆動方式:FWD
一充電走行距離(WLTCモード):476【400】km
バッテリー種類:リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
総電力量:58.56【44.9】kWh
CHAdeMO 対応:85【65】kW
タイヤサイズ:205/55R16
車両価格:2023年9月20日発表予定

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