最終戦を待たずにロバンペラの2連覇確定の可能性も
前戦ラリー・チリではMスポーツ・フォードのオィット・タナックが優勝、3位にトヨタのエルフィン・エバンス、4位にトヨタのカッレ・ロバンペラが入り、トヨタがマニュファクチャラーズ選手権3連覇を決めている。
一方、ドライバーズタイトル争いは2戦を残してティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)とタナックの逆転チャンピオンの可能性が消滅し、チャンピオン争いはロバンペラとエバンスのトヨタ勢ふたりに絞られることになった。ドライバー選手権首位のロバンペラが、31ポイント差で選手権2位のエバンスをリードして、第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーを迎える。
1戦で獲得可能な最大ポイントは30のため、今回ロバンペラがエバンスを上回ると、最終戦を待たずしてロバンペラの2連覇が確定。一方、エバンスが勝てば、11月のラリージャパンが最終決戦の場となる。
2023年 WRCドライバーズランキング(第11終了時)
1位 K.ロバンペラ(トヨタ) 217
2位 E.エバンス(トヨタ)186
3位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)155
4位 O.タナック(Mスポーツ フォード)146
5位 S.オジェ(トヨタ)99
6位 E.ラッピ(ヒョンデ)987位 勝田貴元(トヨタ)77
2023年WRCマニュファクチャラーズランキング(第11戦終了時)
1位 トヨタ 466
2位 ヒョンデ 360
3位 Mスポーツ フォード 247
誰にとっても初めてのラリーは波乱含み
WRC初開催のセントラル・ヨーロピアン・ラリーは、WRCで初めて3カ国のステージを走行。ドイツでのWRCは2019年のラリー・ドイチェランド以来、オーストリアがWRCの舞台に選ばれたのは1973年以来、チェコは今回初めてのWRCとなる。
セントラル・ヨーロピアン・ラリーのステージは、第4戦クロアチア・ラリー以来のターマック。そのクロアチアではエバンスを優勝を飾っている。ただ、セントラル・ヨーロピアン・ラリーは誰にとっても初めてのラリーで、この時期の道はウエット路面だったり、ぬかるんでいたり、落ち葉が多っかたりするなど、厳しい波乱含みのラリーになると予想される。
ラリーの中心となるサービスパークはドイツ南東部の都市「パッサウ」に置かれ、シェイクダウンは25日(水)の午後にパッサウ近郊のティットリンクで行われる。
競技がスタートするのは26日(木)のデイ1。チェコの首都プラハの歴史的な城の前で昼過ぎからセレモニアルスタートが行われ、その後、プラハ郊外の競馬場「ヴェルカー・チュクレ」でSS1として2.55kmのスーパーSS、さらに夕方にはSS2として「クラトヴィー」周辺のサーキットで8.92kmのスーパーSSを走行。これでデイ1は終了し、マシンはパッサウに戻る。
競技2日目となる27日(金)のデイ2は、全てのステージがチェコ国内で行われ、「プラチャティツェ」に設定されるタイヤフィッティングゾーンを挟んで、3本のステージを各2回走行。6本のステージの合計距離は121.80kmと、ラリー最長の一日になる。
28日(土)のデイ3は、パッサウのサービスパークを中心に午前中はオーストリアで2本、ドイツで1本のステージが行われる。ミッドデイサービスを経て午後はその3本のステージを再走。6本のステージの合計距離は109.50km。
最終日となる29日(日)のデイ4は、サービスパークを起点にドイツで1本、オーストリアで1本のステージが設定され、ミッドデイサービスを挟むことなくその2本を再走。4本のステージの合計距離は67.24kmが予定される。
4日間で3カ国を巡るステージは全部で18本、合計310.01km。リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は1690.70kmとなる。
はたして初開催となるセントラル・ヨーロピアン・ラリーはどんな結果となるか。ドライバーズタイトル争いはどのような結末を迎えるのか。
なおトヨタチームは、ロバンペラとエバンスのふたりに加え、セバスチャン・オジエがワークスエントリー。勝田貴元はTGR WRCチャレンジプログラムから4台目のGRヤリスをドライブする。ホームイベントである最終戦ラリージャパンに向けて、どんな走りを見せてくれるのかも興味深い。