シボレー コルベット(C8型)は2019年に登場した。FRに別れを告げると同時に最新のテクノロジーを採り入れることで、欧州のスーパースポーツにも負けないモデルとなった。これをさらに強化してレーシングスペックを手にしたモデルがZ06だ。ここでは飽くなき速さの追求が具現化した最強モデルに秘められた実力をご覧いただこう。(Motor Magazine2023年12月号より)

加速感、音、乗り心地などすべてのフィーリングがレーシー

Z06が搭載するLT6の回転フィールは、その向こうにレーシングユニットの存在があることを存分に感じさせてくれる。

画像: 調整可能なウィッカービルを備えたリアウイングを装備。本国仕様の排気口はセンター4本出しだが、日本仕様は左右各2本出しとなる。

調整可能なウィッカービルを備えたリアウイングを装備。本国仕様の排気口はセンター4本出しだが、日本仕様は左右各2本出しとなる。

シュンシュンと軽々吹けるというよりは、ギャンギャンと適度な摺動感を伝えながら吹けるそれは、いかにもきっちりとクリアランスが締められたエンジンの趣だ。さりとてピックアップが重いわけではなく、ブリッピングではバイクのようなレスポンスを示してくれる。

アウトプットもいかにも自然吸気の力感だ。低中回転域のトルクはさすがにターボユニットのようにはいかないが、そのぶん回すほどにパワーが二次曲線的に伸びていく。

8000rpmオーバーまでストレスは感じないが、フラットプレーンならではの細かな振動がエンジンとともに走るライブ感を高めてくれる。サウンドは澄んだ高音というよりは中音成分が多いが、その音圧の強さがクルマの性格と合っている。

乗り心地は、はっきりと硬い。さりとて、ワイドフェンダーに収まるタイヤの強烈な幅広ぶりを知れば十分許容できる範疇だ。運動性能的にもタイヤの存在感が強く、公道レベルでは前輪でグイグイと曲がっていく感が強く現れる。ロードゴーイングレーサーという成り立ちを隠そうともしないシャシのキャラクターを知るには、やはりクローズドコースに持ち込むのが筋だろう。

それでもそのドライブが退屈でないのは、エンジンの図抜けた存在感によるところが大きい。絶滅危惧種の自然吸気にして、ここまでギチギチに攻めたユニットに触れられるという幸せが味わえる。

そういうスポーツモデルはもはや数えるほどしかない。この期に及んでGMがコルベット Z06を作った価値は、クルマ好きにとって計り知れないものがある。
(文:渡辺敏史/写真:伊藤嘉啓、井上雅行)

シボレー コルベット Z06 クーペ 3LZ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4685×2025×1225mm
●ホイールベース:2725mm
●車両重量:1720kg
●エンジン:V8DOHC
●総排気量:5454cc
●最高出力:475kW(646ps)/ 8550rpm
●最大トルク:623Nm(63.6kgm)/ 6300rpm
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●タイヤサイズ:前275/30R20、後345/25R21
●車両価格(税込):2500万円

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