フロントフェイスには赤十字と人を飲み込む大蛇のエンブレム、そして大きな盾。そして、スタイリッシュなボディはひと目でアルファロメオとわからせる。創立113年と長い歴史と伝統を持つアルファロメオのいまに迫る。(Motor Magazine 2023年12月号より)

ただ走るだけで楽しく気持ちのよいスポーツセダン

画像: ちょうどいいバランスの速さがあり、歯切れの良い2L4気筒ターボのサウンドを奏でるジュリア。

ちょうどいいバランスの速さがあり、歯切れの良い2L4気筒ターボのサウンドを奏でるジュリア。

そのパドルを弾きながら、3台それぞれを走らせよう。

唯一のセダンであるジュリアは、現在、クアドリフォリオのほかにはこのヴェローチェのみの導入となる。510ps+FRというクアドリフォリオにも憧れはあるが、僕はどちらかといえばこのヴェローチェのファンだ。

280psに400Nmとは思えないほどの、けれど決して持てあますことのないちょうどいいバランスの速さがあるし、いつの間にか2L直列4気筒ターボのサウンドの歯切れの良さが増していて、ただ走るだけで楽しいし気持ちいい。

12:1を切る恐ろしくクイックなステアリングギアレシオとLSDの組み合わせが生み出す、シャープという言葉で単純に言い表すことができない、快感に満ちたハンドリング。デビューから時間が経ったことでかなり熟して、乗り心地まで素晴らしいレベルに到達している。他にも魅力のあるセダンは存在しているけど、僕にとってはこれこそが世界でいちばん心躍るスポーツセダンなのだ。

ステルヴィオ・ヴェローチェも基本、ジュリア・ヴェローチェと同一線上にあると言っていいだろう。ジュリアがそのままSUVになったようなものだ。

車重はジュリアより重いから加速の勢いではほんのわずか譲るし、ジオメトリーやエンジン搭載位置などでだいぶ寄せているとはいえやはり、セダン有利となるが、加速も巡航もスピードは十分以上だし、“ホントにSUVだっけ?”と疑いたくなるほどの軽やかで鮮やかなコーナリングを楽しませてもくれる。

最強のライバルは、身内から誕生した

画像: MHEVとPHEVをラインナップするトナーレ。トナーレPHEVは速さを感じさせないのに速い。

MHEVとPHEVをラインナップするトナーレ。トナーレPHEVは速さを感じさせないのに速い。

ステルヴィオも心躍るSUVだったのだが、強力なライバルが現れた。それも身内から。そう、トナーレである。しかもトナーレにはMHEVとPHEVの2タイプがあって、それぞれ異なる楽しさと気持ち良さを持っているのだ。

アルファSUV3台からベストを決めろといわれたら、かなり真剣に悩み込むくらいに。

MHEVは走行感覚がかなりICE寄りで、誤解を恐れずに言うならライトウエイトスポーツカーのような面白さ。すごく速いというわけでもないが、軽快で気持ちいい。PHEVはモーター寄りで、GTカー的な要素の強いスポーツカーのような性格。ステルヴィオ並みのパワーがあるから充分に速いが、フラットに素早くスピードを積み上げていくタイプだから、速さを感じさせないのに速い。

ステルヴィオがジュリアと同じく驚くほどクイックなステアリングギアレシオでノーズをスパッとインに食い込ませ、それを安定方向にある長めのホイールベースで受け止めていくのに対し、トナーレはほどほどに素早くハンドルを切ってロールが始まると前下がりのロールセンターが活きてグイグイとインに入っていく感触。しかもPHEVモデルは前はエンジン、後はモーターの4WDの制御が加わるから、MHEVとはまた似て異なる感触があるのだ。

SUV1台を選ぶには悩ましすぎる、3つの個性

アルファのSUV選びは、楽しさと気持ち良さの観点から考えると、悩ましい。でもSUVを選ぶなら、この3台のどれかがいい。そう思わせるほど魅力的なのだ。

画像: フォルム、サイズはそれぞれに異なる。それでも共通する何か、がそこにはあった。

フォルム、サイズはそれぞれに異なる。それでも共通する何か、がそこにはあった。

僕は楽しいクルマ、気持ちいいクルマが大好きだ。誰かに勧めるときには別のチョイスをするかもしれないが、自分自身のクルマ選びの基準はそこにある。というか、そこしかない。そして僕はアルファロメオの新世代のアルファたちに心を奪われている。見事に。

そうそう、忘れてた。アルファロメオの「らしさ」には、もうひとつある。それは「ドライバーの心をいつしか鷲掴みにして離さない」、である。現行アルファも間違いなくアルファロメオ、なのだ。
(文:嶋田智之/写真:永元秀和)

画像: 筆者の嶋田氏は、いつの時代であってもアルファロメオを愛してやまない。

筆者の嶋田氏は、いつの時代であってもアルファロメオを愛してやまない。

アルファロメオ ジュリア 2.0ターボ ヴェローチェ主要諸元

●全長×全幅×全高:4655×1865×1435mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:1630kg
●エンジン:直4SOHCマルチエアターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:206kW(280ps)/5250rpm
●最大トルク:400Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・58L
●WLTCモード燃費:12.1km/L
●タイヤサイズ:前225/40R19 後255/35R19
●車両価格(税込):680万円

アルファロメオ ステルヴィオ 2.0ターボ Q4 ヴェローチェ主要諸元

●全長×全幅×全高:4690×1905×1680mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:1810kg
●エンジン:直4SOHCマルチエアターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:206kW(280ps)/5250rpm
●最大トルク:400Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・64L
●WLTCモード燃費:10.9km/L
●タイヤサイズ:225/40R21
●車両価格(税込):828万円

アルファロメオ トナーレ プラグインハイブリッド Q4 ヴェローチェ主要諸元

●全長×全幅×全高:4530×1835×1615mm
●ホイールベース:2635mm
●車両重量:1880kg
●エンジン:直4SOHCマルチエアターボ+モーター
●総排気量:1331cc
●最高出力:132kW(180ps)/5700rpm
●最大トルク:270Nm/1850rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・42.5L
●WLTCモード燃費:14.1km/L
●タイヤサイズ:235/40R20
●車両価格(税込):740万円

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