2023年11月5日、モビリティリゾートもてぎで「2023 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」の決勝が行われ、36号車au TOM'S GR Supraが第7戦に続き連勝で今季3勝目を達成。2023年シーズンのシリーズチャンピオンに輝いた。2位に23号車MOTUL AUTECH Z
、3位には17号車Astemo NSX-GTが入った。(文:河村大志/写真:GTA)

三つ巴の最終決戦

画像: 青空の中に雨雲が点在する読めないコンディションの中、最終戦のスタートが切って落とされた。

青空の中に雨雲が点在する読めないコンディションの中、最終戦のスタートが切って落とされた。

第7戦終了時のポイントランキングは36号車au TOM'S GR Supraが69ポイントでトップ、3号車Niterra MOTUL Zが63ポイントでランキング2位、そして16号車ARTA MUGEN NSX-GTが53ポイントでランキング3位となっており、この3チームにチャンピオン獲得の権利が残っている。

予選では3号車がポールポジション、36号車が3番グリッドを獲得。上位2チームが決勝に向けて順当な仕上がりを見せる中、チャンピオン獲得には優勝しかない16号車がまさかのQ1敗退。予選から明暗が分かれる格好となった。

決勝は上空に雨雲が近づくも路面はドライコンディション。気温22度、路面温度25度の中、63周の決勝レースがスタートした。

ポールシッターの3号車がトップをキープしながら1コーナーをクリア。オープニングラップは2番手17号車、3番手36号車に迫られるも、3周目にタイヤに熱が入ってからはペースを取り戻しギャップを築いていく。

3号車が5周目に入ったあたりから少量の雨が落ち始めるも、コンディションが変わるまでには至らず各チームに動きはなし。上位勢に順位の入れ替えがない中、ランキングトップの36号車が2位走行中の17号車攻略に動いていく。

36号車のスタートドライバーを担当する坪井翔は、23周目のV字コーナーで17号車をオーバーテイクし2番手に浮上。36号車は2位以内に入ればライバルの順位に関係なくタイトルが決まるため、大きな意味をもつオーバーテイクとなった。

勝負の分かれ目となるピットストップでは3号車が先に動き、25周目にピットイン。36号車はトップに浮上するため26周目にピットに入るも、順位は変わらず。同じく26周目にピットインした17号車は23号車にオーバーカットを決められ4位に後退。23号車が表彰台圏内に入ってきた。

気まぐれな天候がもたらしたまさかの結末

レース序盤に雨が降るも、大きな波乱もなくレースは進んでいく。しかし、残り10周を切ったあたりから再び雨が降りはじめる。また、今回の雨は少量ではなく、徐々に雨足が強くなり、路面コンディションがウェットに変化していくほどだった。

優勝がタイトル獲得の絶対条件である16号車はウェットタイヤに交換し大逆転を狙う中、残り周回数が少ないこともあり、上位勢はステイアウトを選択。そして残り5周でドラマが起こる。

優勝目前だったトップの3号車がS字でまさかのコースオフ。濡れた路面に足元をすくわれた3号車がグラベル上でストップしてしまった。作業車によってコースに復帰した3号車だったが、この時点でタイトルの可能性が消える結果に。2位を走行していた36号車が土壇場でトップに立った。

2位フィニッシュでもチャンピオンが決まる36号車だったが、転がり込んできたトップの座を守り切りトップチェッカー。今季3勝目を挙げ、シリーズチャンピオン決定に華を添えた。宮田はスーパーフォーミュラとの2冠達成、坪井はスーパーGTで2度目のタイトル獲得となった。

画像: 文句のつけようがない走りを見せた36号車が優勝。宮田にとってはスーパーフォーミュラに続き国内トップカテゴリーで2冠となった。

文句のつけようがない走りを見せた36号車が優勝。宮田にとってはスーパーフォーミュラに続き国内トップカテゴリーで2冠となった。

2位は23号車、3位は17号車が入った。そして今季限りでの引退を発表していたトヨタのエースドライバーにしてスーパーGTを3度制した立川祐路は11位でフィニッシュ。ラストレースを戦い抜いた。

画像: 今年はスーパーGTとスーパーフォーミュラの両カテゴリーで活躍した宮田と坪井。若い2人がトヨタにタイトルをもたらした。

今年はスーパーGTとスーパーフォーミュラの両カテゴリーで活躍した宮田と坪井。若い2人がトヨタにタイトルをもたらした。

画像: 大クラッシュを乗り越えた23号車が2位表彰台を獲得。GT500クラスではラストレースとなるミシュランタイヤに表彰台をプレゼントした。

大クラッシュを乗り越えた23号車が2位表彰台を獲得。GT500クラスではラストレースとなるミシュランタイヤに表彰台をプレゼントした。

画像: 17号車が今季最終戦で3位獲得。不運もありタイトル争いに加われなかったが、ホンダ勢で最も安定した強さを見せてくれたチームだった。

17号車が今季最終戦で3位獲得。不運もありタイトル争いに加われなかったが、ホンダ勢で最も安定した強さを見せてくれたチームだった。

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