、3位には17号車Astemo NSX-GTが入った。(文:河村大志/写真:GTA)
三つ巴の最終決戦
第7戦終了時のポイントランキングは36号車au TOM'S GR Supraが69ポイントでトップ、3号車Niterra MOTUL Zが63ポイントでランキング2位、そして16号車ARTA MUGEN NSX-GTが53ポイントでランキング3位となっており、この3チームにチャンピオン獲得の権利が残っている。
予選では3号車がポールポジション、36号車が3番グリッドを獲得。上位2チームが決勝に向けて順当な仕上がりを見せる中、チャンピオン獲得には優勝しかない16号車がまさかのQ1敗退。予選から明暗が分かれる格好となった。
決勝は上空に雨雲が近づくも路面はドライコンディション。気温22度、路面温度25度の中、63周の決勝レースがスタートした。
ポールシッターの3号車がトップをキープしながら1コーナーをクリア。オープニングラップは2番手17号車、3番手36号車に迫られるも、3周目にタイヤに熱が入ってからはペースを取り戻しギャップを築いていく。
3号車が5周目に入ったあたりから少量の雨が落ち始めるも、コンディションが変わるまでには至らず各チームに動きはなし。上位勢に順位の入れ替えがない中、ランキングトップの36号車が2位走行中の17号車攻略に動いていく。
36号車のスタートドライバーを担当する坪井翔は、23周目のV字コーナーで17号車をオーバーテイクし2番手に浮上。36号車は2位以内に入ればライバルの順位に関係なくタイトルが決まるため、大きな意味をもつオーバーテイクとなった。
勝負の分かれ目となるピットストップでは3号車が先に動き、25周目にピットイン。36号車はトップに浮上するため26周目にピットに入るも、順位は変わらず。同じく26周目にピットインした17号車は23号車にオーバーカットを決められ4位に後退。23号車が表彰台圏内に入ってきた。
気まぐれな天候がもたらしたまさかの結末
レース序盤に雨が降るも、大きな波乱もなくレースは進んでいく。しかし、残り10周を切ったあたりから再び雨が降りはじめる。また、今回の雨は少量ではなく、徐々に雨足が強くなり、路面コンディションがウェットに変化していくほどだった。
優勝がタイトル獲得の絶対条件である16号車はウェットタイヤに交換し大逆転を狙う中、残り周回数が少ないこともあり、上位勢はステイアウトを選択。そして残り5周でドラマが起こる。
優勝目前だったトップの3号車がS字でまさかのコースオフ。濡れた路面に足元をすくわれた3号車がグラベル上でストップしてしまった。作業車によってコースに復帰した3号車だったが、この時点でタイトルの可能性が消える結果に。2位を走行していた36号車が土壇場でトップに立った。
2位フィニッシュでもチャンピオンが決まる36号車だったが、転がり込んできたトップの座を守り切りトップチェッカー。今季3勝目を挙げ、シリーズチャンピオン決定に華を添えた。宮田はスーパーフォーミュラとの2冠達成、坪井はスーパーGTで2度目のタイトル獲得となった。
2位は23号車、3位は17号車が入った。そして今季限りでの引退を発表していたトヨタのエースドライバーにしてスーパーGTを3度制した立川祐路は11位でフィニッシュ。ラストレースを戦い抜いた。