この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第21回目は、5ナンバー・フルサイズセダンとして話題をさらった三菱・デボネアの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

画期的存在からクラシックになるまで生き残った名車

昭和38(1963)年にコルト1000を発売して自動車メーカーの仲間入りを果たした新三菱重工(現・三菱自動車)は、自社初の5ナンバー・フルサイズセダン 「コルト・デボネア」を同年の東京モーターショーに参考出品。翌年5月に正式発表、同年7月に発売した。

画像: 末期には「走るシーラカンス」などと揶揄された初代だが、昭和51年のマイナーチェンジ(写真)では三角窓を廃止してリフレッシュした。とはいえ基本は同じ・・・。

末期には「走るシーラカンス」などと揶揄された初代だが、昭和51年のマイナーチェンジ(写真)では三角窓を廃止してリフレッシュした。とはいえ基本は同じ・・・。

長く、低く、ストレートな線と面を基調としたフォルムは、当時のオールズモビルを彷彿とさせる。それもそのはず、デザインを手掛けたのは元GMのデザイナー、H.S.ブレッツナー。既存の国産車とは一線を画す斬新なディテールが特徴だ。

ボディは大きく見えるが、5ナンバー枠いっぱいに収められている、ボディ骨格は前後にサブフレームを持つモノコックで、サスペンションは前:ダブルウイッシュボーン、後:リーフ・リジッド。

エンジンは、三菱量産乗用車用初の直4OHVとなるKE43型(コルト1000に搭載)をベースに新開発されたKE64型直6OHVだ。OHVではあるが、カムシャフトをブロックの最上位(ピストン上死点の真横)にセットした超ハイカムシャフト機構を採り、2Lクラスではトップレベルの105ps/5000rpmの最高出力を発生した。

トランスミッションはオーバートップ付きフルシンクロ3速MT。0.774のオーバートップギアにより高速巡航時の静粛性を高めたのは高級車らしい設定だった。

画像: キックバックがなく操舵感がスムーズなリサーキュレーティングボール式(ボールナット式)が採用されている。操舵力も軽くなる。

キックバックがなく操舵感がスムーズなリサーキュレーティングボール式(ボールナット式)が採用されている。操舵力も軽くなる。

三菱が総力を挙げて開発したデボネアは、この後、昭和40(1965)年にボルグワーナー製3速ATを追加。昭和44(1969)年にフロントディスクブレーキを装着、昭和45(1970)年にエンジンをSOHCの6G34型に換装と着実に進化を続けながら、昭和61(1986)年まで、実に22年にわたって製造されるロングセラーとなっていく。

三菱・デボネア(1964・A30型)諸元

●全長×全幅×全高:4670×1690×14650mm
●ホイールベース:2690mm
●車両重量:1330kg
●エンジン型式・種類:KE64型・直6OHV
●排気量:1991cc
●最高出力:1051ps/5000rpm
●最大トルク:16.5kgm/3400rpm
●トランスミッション:3速MT+オーバートップ
●タイヤサイズ:7.00-13 4P
●新車価格:125万円

This article is a sponsored article by
''.