2024年モデルのランドローバー ディフェンダーは、個性豊かなバリエーションが追加されました。中でも5L V8の新設定はビッグニュース。そこには、偉大なる「先達」が築いた伝統が継承されているようです。そこで今回は、今でも心くすぐられる最強ディフェンダー「ワークス V8」の歴史を振り返りつつ、V8モデル初試乗の印象をお伝えします。

アドベンチャーするためのトロフィー仕様

2021年、わずか25台という希少な「ディフェンダー ワークスV8 トロフィー」がレストア/リビルトされました。「アドベンチャー対応」を謳うディフェンダー。わかりやすいです。

画像: 初めての「トロフィー」は、2021年に製作。16インチのスチールホイールを備え、イースナーイエローの塗装色で独自の個性をアピールしていた。渡河性能の高さは、言うまでもないだろう。

初めての「トロフィー」は、2021年に製作。16インチのスチールホイールを備え、イースナーイエローの塗装色で独自の個性をアピールしていた。渡河性能の高さは、言うまでもないだろう。

購入者には、ランドローバーにとっては聖地ともいえるイースナーキャッスルにおいて開催される「ランドローバー・トロフィー・アドベンチャー・コンペティション」への出場権がもれなくついていました。オーナーは、さまざまな地形を走り切るためのトレーニング、テストを受け、3日間のイベントに参加することができたそうです。この「特典」は、のちの第二世代トロフィーにも受け継がれることになります。

ベースの車体は、2016-2016年型。5L V8ガソリンエンジンは405s、515Nmで変わりませんが、サスペンションなどのセッティングは、オフロードでの使用に特化して調整が施されていました。

90系と110系が存在しましたが、ボディはすべて個性的なイースナーイエローに、ナルヴィクブラックのアクセントを施した仕様で統一されました。LEDヘッドランプ、ヘリテージ・フロントグリル、ランドローバー・トロフィーのユニークなバッジ、イベント参加用グラフィックなど、専用装備も豊富に揃います。

画像: 2022年の「トロフィーⅡ」。ボディのカモフラージュには、ランドローバーが70年以上にわたるオフロード探検で困難な地形を征服した23のロケーションが描かれている。

2022年の「トロフィーⅡ」。ボディのカモフラージュには、ランドローバーが70年以上にわたるオフロード探検で困難な地形を征服した23のロケーションが描かれている。

2022年7月には第二弾「トロフィーⅡ」がやはり25台で製作されました。フジホワイトボディとナルヴィクブラックのルーフで構成されるエクステリアには、ユニークな明細柄を配置。110ダブルキャブピックアップも、新たに追加されています。

原初のランドローバーをモチーフとするアイラエディション

ランドローバーがそのヘリテージをテーマとする、新しいスペシャルモデルとして製作したのが、「ディフェンダー ワークスV8 アイラエディション」です。2023年5月に発表されたレストア/リビルトモデルで、世界限定30台となります。

画像: 2023年登場の「アイラエディション」(手前)。ランドローバーの創設者の一人であるスペンサー・ウィルクスが所有していたオリジナル車両(ランドローバー シリーズⅡa)のミッドグレー塗装にインスパイアされた、ヘリテージグレーで仕上げられている。

2023年登場の「アイラエディション」(手前)。ランドローバーの創設者の一人であるスペンサー・ウィルクスが所有していたオリジナル車両(ランドローバー シリーズⅡa)のミッドグレー塗装にインスパイアされた、ヘリテージグレーで仕上げられている。

テーマは「最初の遺産」。ローバー・カー・カンパニーのマネージング・ディレクターであり、ランドローバーの創設者の一人であるスペンサー・ウィルクスが所有し、使用していたシリーズII aと、ランドローバーという車名が誕生したスコットランドのアイラ島をオマージュしているそうです。

外観は、クラシックな設えが盛りだくさん。オリジナル車両のミッドグレー塗装に似せたヘリテージグレーで塗装、ライムストーン仕上となる頑丈なスチールホイールを備えました。グリルやマッドフラップ部分にも、あえてクラシックスタイルが盛り込まれています。

一方で中身はしっかりワークス V8仕様となっています。各メカニズムももちろん歴代のワークス V8同様に、ブラッシュアップが施されました。

画像: 「アイラエディション」はシートのショルダー部分、ドアカードの一部、中央のアームレストの蓋、サンバイザーの後ろに隠されたディテールなどがすべて、アイラウール工場によって特別に選ばれた手触りの良いツイードで仕上げられている。

「アイラエディション」はシートのショルダー部分、ドアカードの一部、中央のアームレストの蓋、サンバイザーの後ろに隠されたディテールなどがすべて、アイラウール工場によって特別に選ばれた手触りの良いツイードで仕上げられている。

室内は、足もとにカーペットを敷くことで高級感を演出。インテリア細部には、アイラ島とのつながりをさりげなく感じさせるディテールを採用しています。とくにユニークなのが、センターコンソールスペースの処理でしょう。革製タブのついたトレイには、アイラ島のキルホールマン蒸留所から調達されたウイスキー樽のオーク材が使用されます。

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