特設コース試乗 ─── よりまろやかな味わいが印象的
試乗会は2部構成。前半は、トヨタ クラウン クロスオーバーを使って広大な駐車場に作られた特設コースで行われました。タイヤは、旧モデルと新モデルで、それぞれに約2万5000kmを走行した状態のものと、新モデルの新品状態、合計3タイプでのチェックとなります。
試乗のシチュエーション的には、30~40km/hほどで走る市街地を模した短めの直線から、幹線道路と首都高速道路などをイメージさせる50~80km/hほどの長い直線、そしてタイト気味のワインディングを思わせるS字コースが用意されていました。そこを2周×2セット、乗り換えながら試してみます。
まずは新型の新品と摩耗時の違いについて。体感的には、市街地の領域では摩耗後の方がわずかにこもり音が重めに伝わってくるかな、程度の違いです。摩耗時は速度が上がるとややざらついた感触が強まり、それに合わせてノイズの音域も広がる感じがありました。
もっとも逆に、少しこじるように走らせたパイロンターンでやや大きめの荷重をかけると、摩耗後の方が新品より穏やかな音質に感じられたのが、興味深いところでした。
摩耗後の新旧比較では、旧型のほうが全体的に「硬さ」をより明確に感じさせます。ノイズは、こもり音が少し強まったような印象。正直言えば、旧型でも摩耗後のやれ感はけっして悪いレベルではありません。それでも、新型はよりまろやかに躾けられているように感じられました。
一般道試乗 ─── 4WD PHEVモデルとの相性も良好
試乗プログラム後半は、一般道で4種類のクルマに装着したものをチェックします。試乗会場から自動車専用道路を走り、途中から一般道に下りて市街地を走行。ただし、このコースがどこに行っても路面的にはそうとう荒れており、静粛性でも快適性でも、タイヤにとって総じてシビアなテストコンディションだったことはまず、触れておきたいと思います。
そのため、とくに遮音性能が比較的厳しい軽自動車では、静粛性に関してはそうとう厳しいものがありました。それなりにヘビーなスーパーハイト軽ワゴン(NBOX CUSTOM)とはいえ、コンパウンドの角が立っている感触とあいまって凹凸にも敏感に反応している感覚があります。結果的に、乗り心地もラフな印象に終始しました。
一方で荷重がかかる大型ミニバン(試乗車はトヨタ アルファード ハイブリッドFF)や、パワートレーンが重めの4駆のSUV(三菱 エクリプスクロスPHEV)との相性は、かなり良い感触です。
最新のハイブリッドセダン(トヨタ プリウス)も含め、もともと静粛性や操安性に優れているテストカーでは、おおむね狙いどおりの性能が実感できます。路面の状態によっては細かな凹凸を拾う硬さを伝えてくることはありましたが、素直なハンドリングのフィールも含めて心地よく走ることができました。