積み重ねてきたヘリテージで「お悩み」の解消に挑戦
約6年前、株式会社トムス 代表取締役 社長に就任した谷本 勲氏に、トムスが取り組むレストア事業の目的、展望についてお話をうかがうことができました。
今回の事業は、クルマとしてのヘリテージだけでなく、トムスそのものの「ヘリテージ」を象徴している、と思えます。それは、トヨタ車をベースとしたカスタマイズ&チューニングの歴史であり、さまざまなレースシーンで勝利を重ねてきた歴史に他なりません。
「2000年以降、私たちが手掛けてきたチューニングカーのオーナー様からメンテナンスの延長として、レストアに関する相談を受けることが増えてきました。一つひとつに是々非々で対応させていただきましたが、それとは別に、クラシックカーを大切に乗られている人たちのコミュニティから、トムスでレストアはやってくれないの?という問い合わせも実は多かったんです」(谷本氏)
国内の自動車メーカーとしては比較的、アフターサービスが行き届いていると思われるトヨタであっても、旧車に対するサポートは万全とは言えません。30年を超えたクルマたちのオーナーが、補修・交換が必要となるパーツを独自に、純正品で揃えるのはやはり至難の技です。
最近でこそ、マツダが初期のロードスター向け純正部品を復刻させたり、トヨタブランド向けに40ランクルや2000GTをターゲットとした「GRヘリテージパーツプロジェクト」が展開されるなど、情熱的なファンに対するサポートにも目が向けられ始めています。
それでもすべての部品が揃うわけではなく、オーナーたちはそれぞれに対応が必要になります。そんな悩みを、トヨタの準ワークス的位置づけにあるトムスなら解決してくれるのではないか・・・そんな期待感が向けられているそうです。
「ユーザーさんたちから見れば、トムスはやはりトヨタとの結びつきが非常に強い=安心感があるのだと思います。なにか(困ったことが)あってもトムスなら相談にのってもらえる、というイメージですね」
最新設備が整うコンプリートカー用ファクトリーで製作
とくに近年、力を入れているコンプリートカー事業で培われてきたノウハウ、ネットワークが生きている一面もあります、と谷本氏。
「ピュアなレストアとともに、中身や外観を現代風にモディファイすることも可能です。たとえば内装系ならば、センチュリーやレクサスLMといった、ラグジュアリー系のコンプリートモデルを手掛けてきたことが、生きていますね」
走行性能面での安心感や室内空間の質感など、居心地の良さ、快適性をグレードアップできるのが、レストモッドの醍醐味。そこにもトムスのモノづくりに対するこだわりが、反映されています。
「取引のある職人さんや、そういう専門家集団は、みんな変わらず頑張っています。歴史の長い内装屋さんに頼むと、古い車両が現役だったころに手掛けた経験値を持っている場合もあります。トムスでも、エンジンチームのベテランが腕を振るうことができますね」