ドライバーとマシンの「密な対話」が勝敗を分ける?
レースは4割ほどが一般道で、残りは東京ビッグサイトの駐車場とそこに向かうアプローチを利用した、全長2.585kmの特設コースで行われました。仮説のフェンスが設置されているため、有料の特設観覧席から見る時も、基本的には金網越しとなりました。
15時スタートの決勝レースは、狭くタイトな特設コースゆえに抜きつ抜かれつ、という展開にはなりにくかった様子です。それでも、決してダラダラと一本調子の編隊走行が続くわけではなく、ほんの一瞬の隙をつくようにインをとり、アウトに被せ、ポジションを上げていく果敢な走りも披露してくれました。
ラグの極めて少ない電気自動車だけに急加速時の動きがシャープな印象で、後続が先んじようとする動きも、それを阻止しようとする先行マシンの反応も素早く、観ている方がある種の緊張感を覚えるシーンすらありました。接近する時やエネルギー回生時に響く独特の金属的なサウンドも、ドキドキを煽ってくれていたようです。
一方で、ただ速さで戦巧者を見せつけるだけではないところもまた、電気フォーミュラならではの面白さと言えるでしょう。エネルギーマネジメントとしての効率的な回生を使いこなすとともに、あえてパワーを高める時間(アタックモードと呼ばれています)を強制することで、速さと節約の塩梅にも頭を使わなければいけません。
レースには駆け引きが大切であることはいう間でもありませんが、フォーミュラEのそれはドライバーが人としてマシンを操るのと同時に、マシンがドライバーに「もっとスマートに走らないと、勝てないよー」と働きかけているようにも思えました。
決勝はそんな駆け引きが、勝敗を分けることになりました。結果としてはローランドが2位フィニッシュ。ポディウムの中央には、マセラティMSGレーシングのマクシミリアン・ギュンターが立ちました。