残り2時間で降り始めた雨が戦略のポイントになった
7号車トヨタGR010ハイブリッドが、降雨のためコンディションが大きく変わる難しいレースを巧みな戦略で走り抜き、ハイパーカーの激戦を制した。
6番手からスタートした7号車のトヨタは、すぐに5位へとポジションアップ。コース上での追い抜きが難しいイモラでは、優れた戦略とピット作業が重要となるが、2時間を過ぎたところで、7号車は3位でコンウェからデ・フリースへとドライバー交代。フルコースイエローからの再スタートのタイミングで2位へと浮上し、その後、首位のフェラーリ51号車がピットインしたことで首位に立った。
3時間半が経過したところで再びバーチャル・セーフティカーが出されると、7号車トヨタは小林へドライバーチェンジ。その直後、雨が降り始めて路面コンディションが一気にウェットへと変化したが、迷わず再びウェットタイヤへと交換。この素早い判断が功を奏し、2位以下との差を広げることに成功した。
レースが残り1時間となったところで、7号車トヨタはまたも上位陣ではいち早く最後のピットストップを行い、スリックタイヤへと交換。その少し後にライバル勢も続いたが、トップのまま終盤を迎えることになった。
8号車も貴重なポイントを獲得。まだまだ激戦は続く
しかし、7号車トヨタは最後のピットインがライバル勢よりもやや早めのタイミングだったため燃費とタイヤに厳しく、最終盤に2番手のポルシェ6号車から猛烈な追い上げを受けたが、なんとかこれをしのぎ切り、トップでチェッカーでチェッカーを受けた。2位のポルシェ6号車との差はわずか7.081秒だった。
レース後、小林可夢偉は「とてもタフなレースで、本当に驚くべき勝利でした。我々のGR010 ハイブリッドはこの週末最速ではありませんでしたが、チームが素晴らしい仕事をしてくれました。ウェットタイヤへ交換した判断は的確で、後続との差を広げることができ、その後もウェットタイヤで良いペースを維持できたのが大きかった。最後のスティントは本当に大変でした。最高の仕事をしてくれた皆に感謝しています」と語っている。
なお、もう1台の8号車トヨタは、8番手スタートから粘り強く走行を重ね、5位でフィニッシュし貴重なポイント獲得を果たした。
トヨタは今季初となった勝利と5位入賞により、WECのマニュファクチャラーズ選手権ではポルシェとの差を9ポイントに縮め、7号車はドライバーズ選手権でトップと16ポイント差の2位に浮上した。
次戦WEC第3戦は、5月9日(木)〜5月11日(土)、ベルギーのスパ・フランコルシャン6時間となる。