スポーティでキレもあるエアサス仕様の足まわり

美しいクルマを見れば自然と気も逸る。まずステアリングを握ったのは、350ブルーエフィシェンシー。新型の直噴V型60度6気筒自然吸気エンジンを積む主力モデルである。

新型V6“ブルーダイレクト”は、最新インジェクターとマルチイグニッション制御によってストイキ領域に加えて成層燃焼領域と拡大リーンバーン領域を効果的に運用し、三元触媒とNOx触媒を使い分けて、高出力と低燃費の両立を目指したエンジン。従来のCモードに代わりE(エコ)モードを備えたアイドリングストップ付7Gトロニック+が組み合わされている。

先代以上にハイクラスなインテリア(試乗車はSクラスの最上級モデルに匹敵する雰囲気だった)に目を奪われつつ走らせてみると……。おやおや? ひと昔前のベンツじゃあるまいし、どうしてこんなにもかったるく走るのだろう?

正確には、日常領域でとくに不満はないパフォーマンスながらも、ちょっとした加速に迫られた瞬間、エンジンの反応がダルでおぼつかない。クルマを妙に重々しく感じてしまう。試しにS(スポーツ)モードに変えてみれば、今度は明らかにパワフル志向で、その差は歴然。乱暴だと思ってしまうほどだった。

後からエンジニアに聞いた話では、Eモードはユーザーの要望に応えて設定したもので、従来のCモードに比べてさらに燃費重視のプログラムが施されているという。Sモードがパワフルに感じるのは、その相対的な差が広まったというわけだ。このあたり、日本で実用燃費を計ってみてから是非を論じたい。

感心したのはエアサスペンション仕様の足まわりだった。ベースとなったEクラスに比べても明らかに洗練度が増しており、それでいてとってもスポーティでキレ味もあったから、終始笑顔でドライブできた。

ひとつだけ注文をつけるとすれば、今回初めてフル電動化され、歯車式可変ギアレシオ機構“ダイレクトステア”と組み合わされた電動パワーステアリングのフィーリングが一部領域で不快だったこと。このあたりもう少し磨きあげて欲しい。また、車庫入れのしやすさや高速時の安定感は好ましいものだったが、40〜50km/hあたりの速度域においてやや雑味が感じられた。日本導入時には消されているとは思うが。

エアサスペンションが標準の500(日本仕様では550)ブルーエフィシェンシーにも試乗した。こちらも新世代の直噴V8“ブルーダイレクト”で2つのターボでスーパーチャージされている。Vバンクは90度と、V6とのモジュール化はあっさりと捨て去った。エンジンまわりの効率追求が生産効率を上回る結果をもたらす時代になってきたというわけだ。

350とはうってかわって、サウンド/加速フィールともに迫力満点。巨漢のSクラスをも縦横無尽に動かすパワフルさは、CLSクラスでは過剰なほどだ。それでもシャシがきっちり対応しているあたりは、さすがにメルセデスである。(文:西川 淳)

画像: インテリアの印象も外観に負けず「大胆」。車高の低さ、スポーティさがデザインされている。

インテリアの印象も外観に負けず「大胆」。車高の低さ、スポーティさがデザインされている。

メルセデス・ベンツCLS350ブルーエフィシェンシー 主要諸元

●全長×全幅×全高:4940×1881×1416mm 
●ホイールベース:2874mm 
●車両重量:1735kg 
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3498cc
●最高出力:225kW(306ps)/6500rpm 
●最大トルク:370Nm/3500rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR 
●最高速:250km/h (リミッター)
●0→100km/h加速:6.1秒
※EU準拠

メルセデス・ベンツCLS550ブルーエフィシェンシー 主要諸元

●全長×全幅×全高:4940×1881×1416mm 
●ホイールベース:2874mm 
●車両重量:1890kg 
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●排気量:4663cc
●最高出力:300kW(408ps)/5000- 5750rpm 
●最大トルク:600Nm/1600-4750rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR 
●最高速:250km/h (リミッター)
●0→100km/h加速:-秒
※EU準拠

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