2号車キャデラックの追い上げとクラッシュでレース展開は一変
予選では50号車フェラーリ499Pがトップタイムをマークしたものの失格となり、繰り上がりで5号車ポルシェ963がポールポジションを獲得、2番手2号車キャデラックVシリーズがつける展開となっていた。一方トヨタは8号車が6番手、7号車が14番手とパフォーマンス的にやや不利な状況で、フェラーリ、ポルシェ、キャデラックを追う立場になった。
決勝日は好天で暖かな気候となり、8万8100人にのぼる記録的な大観衆が見守る中、序盤からまるでスプリントレースのような激しい戦いが繰り広げられ、デブリ回収のためのフルコースイエローや多重クラッシュ、セーフティカーの導入など波乱含みの始まりとなった。
4時間を経過した時点で、予選トップの5号車ポルシェ963は後退、2番手2号車キャデラックもトップ10圏外に沈み、フェラーリの51号車、50号車が1-2体制を作り上げていた。
終盤のポイントとなったのは、序盤大きく後退していた2号車キャデラックの追い上げ。3番手の99号車プロトンのポルシェ963を猛然と追っていた2号車キャデラックは、ケメルストレートでGT3のBMW M4と接触し、大クラッシュ。これで赤旗中断となる。
この赤旗中断は2時間近くにもおよび、このままレース終了かと思われたが、残り1時間44分でレースが再開されることが決定、陽が沈む中で最後の戦いが繰り広げられることになった。
最後の勝敗を決めたのは、12号車と6号車のポルシェ963が赤旗中断直前にピットストップを行っていたこと。上位陣がレース再開後にピットに入る中、2台のポルシェ963がレースをリードし、優勝争いを展開することになる。
この2台の戦いは最後まで続いたが、12号車は最後のピットも素早くこなし、プライベーターのハーツ・チームJOTAがワークスのペンスキーを従えてトップでゴールした。
終わってみれば、ル・マンの前哨戦と言われるスパ・フランコルシャンで、ポルシェとフェラーリがトップ5を独占。フェラーリにとっては勝利をほぼ手中に収めていただけに惜しいところだが、ル・マンに向けて手応えがあったレースと言えるだろう。