この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第64回目は、三菱 ギャランGTOのミニチュア版として人気を博した、ミニカ スキッパーGTの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

GTO旋風が生んだこしゃくなミニクーペ

昭和40年代後半(1970年代前半)はスペシャリティ軽自動車の時代だった。各メーカーから個性的なクーペモデルが送り出されている。三菱はミニカ70をベースにした、キュートなファストバック・クーペ、ミニカ スキッパーを送り出した。

画像: 軽としては攻めたエクステリアだ。リアコンビの上には「スクープウインドウ」と呼ばれるシースルーウインドウが設けられ、後方視界の向上を助けていた。

軽としては攻めたエクステリアだ。リアコンビの上には「スクープウインドウ」と呼ばれるシースルーウインドウが設けられ、後方視界の向上を助けていた。

全体のシルエットは、ヒット作となったギャランGTOと似たものだ。ファストバック&カットオフテールを採用し、リアエンドを大胆に切り落としている。後方視界を確保するため、ガラスハッチとリアコンビネーションランプの間にスモークドウインドウを組み込んだ。これがリアビューのアクセントになっている。

また、フォグ内蔵のデュアルヘッドランプやリアクオーターピラーのベンチレーションルーパーなど、ギャランGTOのスケールダウン版だった。

トップグレードのGTは、砲弾型ミラーやセンタールーフアンテナなどを装備する。インテリアも木目調パネルに3眼メーターを配すなど、スポーティなムードだ。エンジンはミニカ70GSS譲りの2ストローク水冷2気筒の2G10型を積む。10.0の高圧縮比とミクニソレックス製キャブの2連装で、38ps/7000rpm、 3.9kgm/6500rpmを発生するが、359ccの量産エンジンとしては驚異的なスペックだ。

画像: フロントに縦置きされる直列2気筒2サイクルエンジン(2G10型)。軽自動車ながらソレックスツインキャブを装着し、圧縮比10.0から38ps/3.9kgmの性能を誇った。

フロントに縦置きされる直列2気筒2サイクルエンジン(2G10型)。軽自動車ながらソレックスツインキャブを装着し、圧縮比10.0から38ps/3.9kgmの性能を誇った。

3種類のオプショナルパーツ・シリーズが用意されていたのも特徴で、「ホットヒップ・バージョン」はエアスポイラーなどが、「スポーツ・バージョン」にはボンネットメーターやノーズフィンが、「メークアップ・バージョン」 にはオーバーヘッドコンソールなどが用意されていた。

三菱 ミニカ スキッパーGT(A101型)諸元

●全長×全幅×全高:2995×1295×1275mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:470kg
●エンジン型式・種類:2G10型・直2・2ストローク
●排気量:359cc
●最高出力:38ps/7000rpm
●最大トルク:3.9kgm/6500rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:145SR10
●新車価格:44万円

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