日本自動車車体整備協同組合連合会(会長 小倉龍一)は2024年5月23日(木)、記者会見を開催、5月21日(火)付けで損害保険大手4社に対して「指数対応単価」見直しをともなう団体協約締結を求めた交渉を申し入れたことを明らかにしました。

労務環境の整備などに活用し、深刻な人手不足解消を目指す

今回、日車協連が団体協約締結を求める交渉を申し入れることになった背景には、近年、社会問題となっている自動車整備業の担い手不足といった問題があります。解消にはやはり、労働環境の整備、賃金条件の改善が必要ですが、その原資としての作業工賃の見直しが求められています。

画像: 保険が適用される場合のユーザー、損保、整備事業者の取引関係は意外に複雑。だからこそ、適正な作業単価の確立に「双方」の納得と合意が必要となることは間違いないだろう。

保険が適用される場合のユーザー、損保、整備事業者の取引関係は意外に複雑。だからこそ、適正な作業単価の確立に「双方」の納得と合意が必要となることは間違いないだろう。

とくに事故との関連性が強い自動車車体整備においては、損害保険会社からの工賃=保険金が収入の大きな割合を占めているといいます。その計算は作業時間として使われる「指数」に、損害保険会社が設定する指数対応単価を乗ずることで決定されます。

日車協連はこの指数対応単価を、令和6年3月31日時点のものから17.5%以上引き上げることを目標として設定しています。根拠となるのは、国内における企業が事業活動を行う際にかかるコストに基づいた国内企業物価指数の大幅な上昇です。

全般では、2020年度比で2022年には19.3%も上昇。車体整備事業においては、原油価格の高騰、円安の進展による原材料費・エネルギーコストが上昇しています。17.5%以上の引き上げという目標は、労務費の適正な向上を図るとともに、そうした負担の応分を価格に転嫁することを求めるものでもあります。

日車協連によれば、指数対応単価をめぐる損害保険会社との交渉は、協同組合としてはほぼ30年にわたって行われなかったそうです。今回の申し入れは、「中小企業等協同組合法」に定められた団体協約制度を活用することで、変化する事業環境に即しながら、事業者にとって適正な取引条件を導き出すための第一歩となります。

これはおそらく、単に事業者だけの問題ではありません。

自動車車体整備というサービスの停滞は、自動車の安全性、日常的な安心感が失われてしまうことを意味します。普段はあまり意識していなかった「愛車の健康」を守るためにも、一般自動車ユーザーもまた「担い手」たちの貢献について改めて考えるとともに、今回の申し入れの動向について注視していくべきなのかもしれません。(文:Webモーターマガジン編集部)

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