悪路走破性はもちろん、高速ステージでの戦闘力、信頼性を向上
車両カテゴリーはFIAのT1:市販車改造クラス、T2:市販車無改造クラスのふたつだが、トライトンが参戦するのは総合優勝を狙うT1:市販車改造クラスだ。
耐久性・信頼性が重要なことから動力性能をどこまで上げるかがポイントとなるが、三菱自動車では昨年の参戦結果を振り返り、トルク容量の大きい競技用トランスミッションを新たに開発した。これにより、高速ステージで大排気量の競合車に対抗できるよう動力性能を大幅に向上させるとともに、耐久性と操作性を向上させている。
また、トレッドを拡大するとともに、リアサスペンションをコイルスプリングを用いた4リンクリジッド式に変更し、油圧式バンプストッパーを組み込むことで悪路走破性を向上させている。
最大のライバルはトヨタ・フォーチュナー(ハイラックス)になると思われるが、三菱トライトンはその操作性、俊敏な走り、耐久性で対抗する構えだ。
今年のAXCRは、8月11日にタイ・スラタニをスタートし、タイ・カンチャナブリにゴールするルートが予定されている。チーム三菱ラリーアートは6月21日~27日にタイ・カオヤイのオフロードコースで本番を想定した高負荷の耐久テストを実施、7日間で約800km走り込んだ。加速性能を強化したエンジンや車体の信頼性・耐久性を確認しながら、本番に向けた最終調整を行った。
「三菱トライトン AXCR2024 参戦車両」 主要諸元
●全長×全幅:5320×1995mm
●ホイールベース:3130mm
●トレッド:1730mm
●エンジン:4N16 直4ディーゼル インタークーラー付ターボーチャージャー
●総排気量:2439cc
●燃料噴射装置:高圧コモンレール式DI-D
●ターボチャージャー:三菱重工製
●最高出力:150kW以上
●最大トルク:470Nm以上
●トランスミッション:6速シーケンシャル
●駆動方式:フルタイム4WD
●フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
●リアサスペンション:4リンクリジッド式コイルスプリング
●ショックアブソーバー:CUSCO製 減衰力調整式ツインダンパー
●バンプストッパー:油圧式
●ステアリング形式:ラック&ピニオン(パワーステアリング)
●ブレーキ:ENDLESS製モノブロックブレーキキャリパー
●ホイール:WORK製 17×7J
●タイヤ:横浜ゴム製 GEOLANDAR M/T G003 245/75R17
●エキゾーストシステム:HKS製
■チーム三菱ラリーアート 増岡 浩総監督のコメント
「昨シーズンは発売直後の新型トライトンで2連覇に挑みましたが、ポテンシャルを十分に引き出すことができず3位入賞に終わりました。今シーズンのトライトンは主に動力性能と悪路走破性を大幅に高め、4台体制に強化して王座奪還に挑みます。また、今年は、これまで長年にわたり、私と一緒に三菱車の開発に携わってきたテストドライバーである小出が参戦します。『過酷なモータースポーツ現場での経験をクルマづくりに活かす』という三菱自動車らしいクルマづくりの伝統を、次の世代にしっかりと引き継いでいきたいと考えています」
チーム三菱ラリーアートは、2022年にチームに優勝した初出場初優勝をもたらしたチャヤポン・ヨーター、FIAアジアパシフィックラリー選手権(APRC)チャンピオンの田口勝彦に加え、社内テストドライバーの小出一登など、4台のトライトンで挑む。
■チーム三菱ラリーアート
総監督:増岡 浩(三菱自動車)
チーム代表:シャユット・ヤンピシット(タントスポーツ)
テクニカルディレクター:コーポン・アマータヤクン(タントスポーツ)
テクニカルサポート:相羽 規芳、牧田 哲也、築城 政隆(三菱自動車)
●ドライバー/コドライバー:
チャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン
田口 勝彦/保井 隆宏
サクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ
小出 一登/千葉 栄二
発表会当日は、チーム三菱ラリーアートが6月21日~27日にタイでテストを行った車両をオフロードコースに持ち込み、その豪快で俊敏な走りを披露した。