幻のスポーツカーを復元してグッドウッドで走行
アウディ トラディションは、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024で「アウトウニオン タイプ52」を初めて一般公開した。
![画像: アウトウニオン タイプ52の独創的なデザインは見るものを魅了する。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/07/22/c00434c3865246724bdc1fefbd6ecbad58262f0a_xlarge.jpg)
アウトウニオン タイプ52の独創的なデザインは見るものを魅了する。
アウディ トラディションの責任者、シュテファン・トラウフは次のように述べている。
「グッドウッドでアウトウニオン タイプ52を発表できることを大変嬉しく思います。このクルマは、デザインとテクノロジーで人々を興奮させることでしょう。私にとって、これはまさに夢の車です。残念ながら約90年前は夢のままでしたが、今、私たちはそれを現実のものにすることができました。アウトウニオン タイプ 52 は、その開発者の創意工夫と当時の技術革新を示しています」
シュテファン・トラウフ氏が語る「90年前は夢のまま…」とはいったいどういうことなのだろうか。実はアウトウニオン タイプ52は当時は実現しなかった、つまり“幻のクルマ”という歴史があるのだ。
アウトウニオン タイプ52は1933年、ポルシェの設計事務所が最初の設計スケッチを描き、翌年にはより具体的なカタチになっていた。当時のプロジェクトマネージャーはテストカーを制作することを決定していたが、1935年にはプロジェクトは中止され、実現しなかったという。
![画像: 1933年に描かれた当時の設計スケッチ。この時は実現がかなわなかった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/07/22/a5a57b97118098863941031a6e3791a01a5940e0_xlarge.jpg)
1933年に描かれた当時の設計スケッチ。この時は実現がかなわなかった。
当時の資料によると、アウトウニオンタイプ52のシャシは、エンジンをミッドマウントしたラダーフレームとして設計された。
ドライバーは中央に座り、後部の助手席はわずかに横にオフセットされている。そして空車重量は1300kgと記載されている。
ドライブトレインは16気筒エンジンを使用したが、その圧縮はクルマがレギュラーガソリンで走行できるように下げられたという。同時にルーツ式のスーパーチャージャーのギア比も下げられた。
アウトウニオン タイプ52のエンジンの排気量は4.4Lで、最高出力200ps/3650rpm、最大トルク436Nm/2350rpmを発生していた。
グランプリレースでの伝説と比べるとほどほどのスペックだが、エンジニアの計算によると最高速は200km/hを超えるということで、最も強力な公道を走れる車両のひとつだったことは間違いない。
![画像: 90年の時を経て実現したアウトウニオン タイプ52。見た目のインパクトは現代でも通用する。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/07/22/8543acd6cd6298f45b23700d2ee22f979cf48a8d_xlarge.jpg)
90年の時を経て実現したアウトウニオン タイプ52。見た目のインパクトは現代でも通用する。
![画像: 排気量4.4Lの16気筒エンジンをリアミッドに搭載。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/07/22/f8a4c2d5ed16cc4b051ec45caeeadfb6223c9dcc_xlarge.jpg)
排気量4.4Lの16気筒エンジンをリアミッドに搭載。
![画像: 運転席を中央に据えた3人乗りのレイアウトを採用。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/07/22/cd391b5024528ba032059f23b2e8408bd260341b_xlarge.jpg)
運転席を中央に据えた3人乗りのレイアウトを採用。
アウトウニオン タイプ52は、グッドウッドでル・マン記録の勝者であるトム・クリステンセンと、レーシング界のレジェンドであるハンス=ヨアヒム・シュトゥックがドライブする。
後者の父、ハンス=シュトゥックは、1930 年代に人気だったヒルクライムでアウトウニオン グランプリ レースカーを駆り数々の勝利を収め、「ヒルクライム チャンピオン」として歴史に名を残した。
ハンス=ヨアヒム シュトゥックは、アウトウニオン タイプ52の試乗後、次のように語っている。
「アウトウニオン タイプ52は、ただ息を呑むほど美しいです。そのサウンドは信じられないほど響き渡り、まるでオーケストラから響いているようです。 グッドウッドで初めて運転できることは、大変名誉なことであり、喜びでもあります」
![画像: アウトウニオン タイプ52がイギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024で走行。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/07/22/735b0368ec256fdcd4c104409e0079c0bddf4641_xlarge.jpg)
アウトウニオン タイプ52がイギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024で走行。
![画像: レーシング界の伝説的人物ハンス=ヨアヒム・シュトゥック(左)とル・マン優勝者のトム・クリステンセン(右)。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/07/22/fd4062348650c26edfb3a8fe3de1e678e88b9c53_xlarge.jpg)
レーシング界の伝説的人物ハンス=ヨアヒム・シュトゥック(左)とル・マン優勝者のトム・クリステンセン(右)。
■アウトユニオン タイプ52の技術データ
オートユニオン タイプ52 2023年モデル | アウトウニオン タイプ52 1934年に計画された | |
エンジン | スーパーチャージャー付き16気筒ミッドマウントエンジン | スーパーチャージャー付き16気筒ミッドマウントエンジン |
変位 | 6005 cc (1936年型アウトウニオンタイプCに類似) | 4358 cc (1934年型オートウニオンタイプAと同じ排気量) |
出力 | 520ps/4500rpm | 200ps/3650rpm |
最高速度 | 該当なし | 200km/hで設計 |
燃料 | メタノール50%、無鉛ガソリン40%、トルエン10% | レギュラーガソリン |
寸法(長さ/幅/高さ) | 5390 / 1780 / 1660mm | – |
ホイールベース | 3315mm | 3000mm |
空荷重量 | 1450kg | 1300kg |
外装色 | セルロース銀 | – |
モデル年 | 2023 | – |
ユニット総数 | ユニークなモデル | – |