ニューモデルとしての進化を、確実に感じさせる
ランクル70は、まさに陸の王者ともいえる、卓越したオフロード走破性を誇る一台。2014年にはその発売30周年記念限定モデルも誕生しているが、こちらも7000台以上を販売する人気車となった。
今回試乗するのは、トヨタが久々に復活(再デビュー)させたニューモデルのランクル70。十分な視界を確保するために、直線を基調としたボディデザインを採用しているのは、従来のランクル70に等しいが、ヘッドランプにはバイビームLEDが新たに採用され、それをフロントグリルと一体化させるなど、ニューモデルとしてのディテールの変更は確実に行われている。
実際にコクピットに収まってみると、それは明らかにランドクルーザーの世界そのものだった。ハンドルの背後に位置するメーターパネルはアナログ式のシンプルなものだが、その視認性は素晴らしく、走行中でも瞬時にそれを読み取ることができる。
合成皮革とファブリックのコンビネーションで統一されたインテリアも、その仕上がりはオフローダーには十分すぎるハイクオリティで、とくにシートはその座り心地やホールド性も抜群だ。これならば、ノーズを向けることを躊躇するオフロードにも、余裕で足を向けることができるだろう。
オフロードでの安全性を考慮したステアフィール
エンジンのキャラクターも素晴らしい。搭載されるのは2.8Lの直4ディーゼルターボで、注目すべきはその最大トルク。500Nmという数字を、わずかに1600rpmから2800rpmの間で均一に発揮する。
これだけのトルクがあれば、オンロードでの発進加速はもちろんのこと、オフロード走行でもエンジンストールを気にすることなく、積極的な走りが楽しめるはずだ。
前後のサスペンションは、オフロードでも抜群の走破性を実現する重要なパートだが、今回の新型ではリアのリーフスプリングがやや柔らかめにセッティングされ、オンロードでの乗り心地も重視しているのが印象に残った。
一方ステアフィールは、市街地レベルの速度域では、センター付近においてその反応に物足りなさを感じる部分もあったが、これもオフロードでのキックバックなどを考慮した結果といえるのだろう。
高速道路ではその領域でもきちんとした手応えが感じられ、直進安定性に不安を感じることはなかった。
ランクル70は、最近では珍しくなったラダーフレームを基本骨格に用いるモデル。それだけにサスペンション、フレーム、ボディ、そして最終的にはシートで、走行中の不快な振動を巧みに軽減してくれる。
実際の使い勝手は実に素晴らしいものなのだが、この伝統のオフローダーを、最近流行のSUVの仲間に入れるべきなのかどうか。これもまたオーナー自身のライフスタイルに影響されるのは当然といえる。(文:山崎元裕/写真:永元秀和)
トヨタ ランドクルーザー70 主要諸元
●Engine
型式:1GD-FTV
エンジン種類:直4DOHC ディーゼルターボ
排気量:2754cc
エンジン最高出力:150kW(204ps)/3000-3400rpm
エンジン最大トルク:500Nm(51kgm)/1600-2800rpm
燃料・タンク容量:軽油・130L
WLTCモード燃費:10.1km/L
●Dimension&Weight
全長×全幅×全高:4890×1870×1920mm
ホイールベース:2730mm
車両重量:2300kg
●Chassis
駆動方式:4WD
トランスミッション:6速AT
サスペンション形式 前/後:コイルリジッド/リーフリジッド
ブレーキ 前/後:Vディスク/Vディスク
タイヤサイズ:265/70R16
●Price車両価格:4,800,000円