約10年ぶりとされる全面刷新が施された、第4世代MINIシリーズに公道試乗。2LツインパワーターボとフルバッテリーEVの両方を試すことができました。まずはガソリン仕様の「クーパーS」からハンドルを握りましたが、瞬間、不思議なデジャヴに襲われてしまったのでした。(写真:佐藤正巳)

「クーパーONEとの濃密な日々」が脳裏をよぎる

筆者にとってMINIとの原初体験は、それなりに濃密なものでした。友人が所有していた初代R50型を、とある事情で半年ほど預かっていたからです。

画像: 新しいMINIのデザイン言語は、「カリスマティック・シンプリシティー」。ブランドのデザインDNAを継承しつつ、MINIの本質的な価値への真摯な姿勢を表現しているという。

新しいMINIのデザイン言語は、「カリスマティック・シンプリシティー」。ブランドのデザインDNAを継承しつつ、MINIの本質的な価値への真摯な姿勢を表現しているという。

もちろんただおとなしく保管していたわけではなく、「好きなように乗っていいよ」というお墨付きをもらっていました。ので、好きなように乗っていましたね。遠慮などまったくなし。

グレードはONEで、5速マニュアルトランスミッション仕様。1.6L NAエンジンを搭載した思い切り「素っぴん」でしたが、朴訥までにフラットな身のこなしがめっぽう楽しくて・・・思えばこの時初めて自分なりに「ゴーカートフィーリング」という言葉の意味を、理解することができたような気がします。

今回、一泊二日の公道試乗となった最新世代のMINI クーパーSは、さまざまな意味でそんな原体験に回帰させてくれるものでした。

と言っておきながらなんなんですけれど、こと目に入る部分に関しては、モチーフこそ伝統的なMINIのお作法に則ってはいるものの正直、受ける印象はまったく違うと思います。

隔世の感があるミニマルな内外装のデザインワークはもちろんですが、それ以上に、歴代のMINIが持ち合わせていた「サイズ感に見合わない重厚感」が、新型のたたずまいからはあまり感じられません。

画像: ステアリング・ホイールの後ろに配置されていたメーターパネルは廃止。全ての情報は、ヘッドアップ・ディスプレイに映し出される。写真の有機ELディスプレイには、Android Autoを介したMapが表示されている。

ステアリング・ホイールの後ろに配置されていたメーターパネルは廃止。全ての情報は、ヘッドアップ・ディスプレイに映し出される。写真の有機ELディスプレイには、Android Autoを介したMapが表示されている。

無駄な抑揚を配したエクステリアといい、シンプルなダッシュボードといい、そこにポンポンと張り付けられたような真円のステアリングとディスプレイ、パーキングブレーキ、シフト、MINIエクスペリエンスモードなどのトグルスイッチをまとめた楕円形の操作部といい、潔いほどにライトな設えが徹底しています。

もっともデジタル世代の感性からすると、実はこのすっきりしたインターフェイスがそうとう凝った作りになっていることが感じられるかもしれません。

たとえばど真ん中の丸いディスプレイ。クルマから外した時の実用性はともかくとして、下手なタブレットPCも真っ青の、非常に高い表示クオリティが与えられています。操作性に関しては少々慣れが必要ですが、Android Autoに接続してMAPから経路案内を指示した時にも非常に見やすい印象がありました。

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