2024年8月30日金曜日(現地時間)、F1第16戦イタリアGPがモンツァサーキットで開幕する。F1グランプリはオランダから休みもなくイタリアに移動、連戦で今季最後のヨーロッパラウンドを迎える。

フェルスタッペンのまさかの5連敗でチャンピオン争いに異変

シーズン後半戦の開幕となった前戦オランダGPでランド・ノリス(マクラレーン)がマックス・フェルスタッペン(レッブル)を寄せ付けず優勝したことで、チャンピオン争いの雲行きはさらに怪しくなってきた。

ノリスは予選でポールポジションを獲得、ファステストラップも記録するハットトリックを達成して、フェルスタッペンの地元オランダGPを完全制圧してしまったのだ。

これでタイトル争いをリードするフェルスタッペンはまさかの5連敗。ドライバーズ選手権での首位フェルスタッペンと2位ノリスの差は70点になった。まだまだポイント差は大きいが、シーズンは9戦を残しているため逆転の可能性も十分にあり、まったく予断を許さない状況となってきた。

マクラーレンを筆頭に、メルセデス、フェラーリも手強い存在となっており、もしフェルスタッペンが上位入賞を逃すことがあれば、その差は一気に縮まることになる。

またコンストラクターズ選手権ではレッブルとマクラーレンの差はさらに小さく、ここ数戦の結果次第で、混沌としたものになっていく可能性がある。今週末のイタリアGPは、シーズンのチャンピオンシップを占う意味でも重要な一戦となりそうだ。

画像: 例年、イタリアGPが行われるモンツァサーキットには多くの熱狂的なティフォシが詰めかけ、異様な雰囲気となる。

例年、イタリアGPが行われるモンツァサーキットには多くの熱狂的なティフォシが詰めかけ、異様な雰囲気となる。

2024年F1ドライバーズランキング(第15戦終了時)

1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル) 295
2位 4 L.ノリス(マクラーレン)225
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)192
4位 81 O.ピアストリ(マクラーレン)179
5位 55 C.サインツ(フェラーリ)172
6位 44 L.ハミルトン(メルセデス)154
7位 11 S.ペレス(レッドブル)139
8位 63 G.ラッセル(メルセデス)122
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12位 22 角田裕毅(RB)22

2024年F1コンストラクターズランキング(第15戦終了時)

1位 レッドブル 434
2位 マクラーレン 404
3位 フェラーリ 370
4位 メルセデス 276
5位 アストンマーティン 74
6位 RB 34

ほかのグランプリとは異なる部分も多い伝統的なグランプリ

こうして迎えるイタリアGPは伝統的なイベントであり、ほかのグランプリとは異なる部分も多い。

まずひとつは、イタリアGPが開催されるモンツァ(Autodromo Nazionale di Monza)がほかに例を見ない超高速コースであること。1922年に建設されたモンツァサーキットは、当初5.5kmのロードコースと4.5kmのオーバルコースをホームストレートで交互に入れ替えて走行する、全長10kmのとんでもない超々高速コースだった。

当時は自動車は超高速にチャレンジすることにこそ大きな意味があったが、まだまだ未熟なマシンで死亡事故が多発。幾度ものコース改修変更を経て、現在は4本のストレートをコーナーでつないだ5.793kmのシンプルなレイアウトに落ち着いている(開業当初のコースの名残は、広く長いホームストレートや高速コーナーに見ることができる)。

それでも最高速、平均速度とも今シーズンのF1グランプリの中で最も速く、最終コーナーのパラボリカを200km/hで駆け抜けた後、1.12kmにおよぶホームストレートでF1マシンは370km/hに達する。

コース形態は典型的なストップ・アンド・ゴーで、長いストレートからのフルブレーキング、立ち上がってフル加速という繰り返しで、意外とオーバーテイクは難しい。

このサーキットでのポイントは、ダウンフォースを小さくして最高速を伸ばすこと、そしてそのダウンフォースの小さなマシンで確実にトラクションをかけること。ダウンフォースが小さいためめブレーキやタイヤへの負荷も大きく、高速からの制動をブレーキに頼りがちになるとから、タイヤやブレーキへのケアも重要となる。

もうひとつのイタリアGPの特徴は、熱狂的なフェラーリファン(ティフォシ)が集結し、例年異様な雰囲気の中で行われること。各グランプリがそれぞれ個性的であることはF1グランプリのひとつの魅力ではあるが、イタリアGPはその中でも特別なグランプリと言っていいだろう。

このサーキットを知り尽くしたフェラーリが、伝統的なサーキットでどんなレースを展開するのかにも注目したい。

画像: モンツァサーキットを象徴する長く広いホームストレート。古くはここでロードコースとオーバルコースを交互に入れ替えて走行した。

モンツァサーキットを象徴する長く広いホームストレート。古くはここでロードコースとオーバルコースを交互に入れ替えて走行した。

画像: モンツァサーキットのコース図。4本のストレートを高速コーナーでつないだストップ&ゴー型のレイアウト。かつてのオーバルコースの名残りもうかがえる。

モンツァサーキットのコース図。4本のストレートを高速コーナーでつないだストップ&ゴー型のレイアウト。かつてのオーバルコースの名残りもうかがえる。

昨年2023年はレッドブルが圧倒的な速さで1-2フィニッシュ

昨年2023年のイタリアGPでは、ポールシッターのカルロス・サインツ(フェラーリ)がレースをリードしてティフォシたちを熱狂させたが、フェルスタッペン(レッドブル)は15周目にトップに立つとあっさりとその差を広げ、危なげなくそのまま逃げ切って10連勝でシーズン12勝目をあげた。

また2位にもチームメイトのセルジオ・ペレスが入り、レッドブルが圧倒的な速さを見せつけることにもなった。

3位争いは2台のフェラーリの間で繰り広げられ、シャルル・ルクレールが接触ギリギリまで攻め立てるも、サインツが逃げ切って表彰台を獲得している。

画像: 昨年2023年のイタリアGPでは、フェルスタッペン(レッドブル)がフェラーリの野望を打ち砕いて快勝した。

昨年2023年のイタリアGPでは、フェルスタッペン(レッドブル)がフェラーリの野望を打ち砕いて快勝した。

画像: 昨年2023年のイタリアGPのタイヤ戦略。モンツァはピットストップに時間がかかるため、通常、 1 ストップ戦略が主流となる。

昨年2023年のイタリアGPのタイヤ戦略。モンツァはピットストップに時間がかかるため、通常、 1 ストップ戦略が主流となる。

【参考】2023年F1第15戦イタリアGP決勝 結果

1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT) 51周
2位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダRBPT)+6.802s
3位 55 C.サインツ(フェラーリ)+11.082s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+11.508s
5位 63 G.ラッセル(メルセデス)+18.294s
6位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+38.903s
7位 23 A.アルボン(ウイリアムズ・メルセデス)+45.080s
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+45.212s
9位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)+46.370s
10位 77 V.ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ) +64.764s
──────────────
12位 40 L.ローソン(アルファタウリ・ホンダRBPT)+70.638s
リタイア 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダRBPT)
ファステストラップ 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

タイヤを供給するピレリは、イタリアGP開幕を前に「 ここモンツァでは、チームは可能な限り空気抵抗を減らして最高速度を優先します。ただ、ブレーキング時の安定性とトラクション、高速コーナーでの横方向の負荷にも注意が必要です。イタリアGPには昨年と同じ、もっとも柔らかい3種類のコンパウド(ハード=C3、ミディアム=C4、ソフト=C5)を供給します。このトラックはピットストップに要する時間が長いため、理論上は 1 ストップ戦略が最も速いことになるでしょう。昨年のレースでは硬いコンパウンドが機能しましたが、今年はトラックが完全に再舗装されたたため、どうなるかはフリー走行を見るまで確かなことは言えません。新しく敷かれたアスファルトの場合、通常、路面は滑らかで、色が濃くなっています。色が濃いと高温になりがちで、路面温度が50°Cを超えることもあります。また、新しい路面でグリップが向上するはずですが、今回はサポートレースが多いので、週末を通じて路面の進化はさらに大きくなるでしょう」と分析している。

画像: イタリアGPを前にピレリが公開した分析データ。ただし今年は路面が再舗装されたため、不確定な部分も多い。

イタリアGPを前にピレリが公開した分析データ。ただし今年は路面が再舗装されたため、不確定な部分も多い。

さて2024年はどんなレースとなるのか。第16戦イタリアGPは8月30日13時30分(日本時間20時30分)から始まるフリー走行で開幕する。

2024年F1第16戦イタリアGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:8月30日13時30分〜14時30分(日本時間20時30分〜21時30分)
フリー走行2回目:8月30日17時〜18時(日本時間24時〜25時)
フリー走行3回目:8月31日12時30分〜13時30分(日本時間19時30分〜20時30分)
予選:8月31日16時〜17時(日本時間23時〜24時)
決勝(53周):9月1日15時〜(日本時間22時〜)

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