「人材の育成」とともに「子供たちに大きな夢を」
トヨタはクルマづくりに欠かせない「People」「Pipeline」「Product」の三要素を鍛えるため、モータースポーツ参戦を継続している。レースの現場で「壊しては直す」を繰り返し、プロドライバーからのフィードバックを徹底的に市販車開発へ織り込む「ドライバーファーストのクルマづくり」の取り組みを強化してきた。
今回のマネーグラム・ハースF1チームとの提携はその一環で、この提携を通じて「People」をさらに強化し、同チームがF1で強みを持つ「Pipeline」を学び、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを加速させていくとしている。
具体的には、それぞれの要素で次のようなメリットが期待されている。
■People 「ドライバーやエンジニア・メカニックの人材育成」
TGRの育成ドライバー、エンジニア、メカニックがMoneyGram Haas F1 Teamのテスト走行に参加。世界一速いクルマでの走行経験を積む。
■Pipeline 「 データ解析・活用」
エンジニア・メカニックは走行データなどの膨大なデータの解析ノウハウを学び、TGRにおける「Pipeline」の効果的な運用を目指す。
■Product 「 車両開発」
TGRのエンジニアおよびメカニックがレーシングカーの空力開発に参画。極限の使用環境下を想定したシミュレーション、カーボン部品の設計・製造を行うことで、世界最高峰のレースの現場で活躍し、培った技術や知見を市販車に反映できる人材の育成を目指す。
たとえば、そこで磨かれた空力テクノロジーが市販モデルにフィードバックされることで、電動車の航続距離を延ばすといった進化が期待できるという。
記者会見に参加したモリゾウは今回の提携が、たとえば現在スーパーフォーミュラなどで戦っているドライバーにとっても、それをサポートしているエンジニアやメカニックにとっても、新しい「目標」となりうる、とコメント。将来はモータースポーツを通して、未来のクルマ好きの予備軍である子供たちに「世界一速いクルマに、自分も乗れるかもしれない!」という夢を与えたい、と語った。
一方、マネーグラム・ハースF1チームにとっては、トヨタからの技術協力を受けて、車両開発スピードが高まるメリットが大きい。マネーグラム・ハースF1チームは2026年以降もフェラーリのパワーユニットを搭載する。