この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第105回目は、軽快な走りで走り屋の心をとらえた、ホンダ シビック1500CXの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

RSの後継車としてFFスポーツの名を引き継ぐ

コンパクトなボディに強力なパワーユニットという点では、初代シビックに続いて昭和54(1979)年の7月にフルモデルチェンジを受けて登場した2代目のシビックに設定されたCXもまた、相当に魅力のあるモデルであった。

画像: 初代シビックのイメージを大きく引き継いだ2代目シビック。それだけ初代の存在が偉大だったことだろう。使い勝手に優れているのは言うまでもない。

初代シビックのイメージを大きく引き継いだ2代目シビック。それだけ初代の存在が偉大だったことだろう。使い勝手に優れているのは言うまでもない。

とくに780kgの軽量な車重は活発な走りの原動力となり、さらに搭載されたEM型 1488cc直列4気筒SOHCエンジンは、他のグレードとはバルブタイミングを変更して、最高出力85ps/5500rpmを発生する当時としては極めて高性能なものであった。そのパフォーマンスは、先代シビックの1200RSを彷彿とさせた。

もちろん小型2ボックス車の基本である実用性の高さも健在だ。先代に続いてFWDの駆動方式を採用したことで、キャビンのフロア面は低く平坦にまとめられ、リアシート回りでもその余裕は相当に強く感じられ、居住性を高めていた。

組み合わせられたトランスミッションは5速MTで、ファイナルギアレシオを他のグレードより大幅に下げている。ローギアードとすることで、燃費性能を多少犠牲にしても加速性能を高めるのがその目的だ。ブレーキはフロント側にサーボアシストを備えるディスクタイプが採用され、サスペンションも強力なパワーに対応するために、他のグレードとはセッティングの異なるハードタイプが使用された。

画像: EM型1488㏄エンジンはバルブタイミングを高回転向きのものとして吸気効率を上げ、85psを発生していた。こうした変更もホンダらしさがあふれる。

EM型1488㏄エンジンはバルブタイミングを高回転向きのものとして吸気効率を上げ、85psを発生していた。こうした変更もホンダらしさがあふれる。

1500CXの走りの素質はレースシーンでも着目された。ワンメイクレースを中心に日本中のサーキットで1500CXは大活躍した。シビック CXの成功で、他メーカーも続々とスポーツハッチバック市場に新車を投入することになる。

ホンダ シビック1500CX(SR型)諸元

●全長×全幅×全高:3870×1580×1350mm
●ホイールベース:2250mm
●車両重量:780kg
●エンジン型式・種類:EM・直4SOHC
●排気量:1488cc
●最高出力:85ps/5500rpm
●最大トルク:12.3kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:155SR13
●新車価格:95万7000円

This article is a sponsored article by
''.