モーターマガジン社より「スーパーカークロニクル・完全版」が好評発売中だが、その中から主だった車種をダイジェストで紹介しよう。第3回は1980年から1989年までのいわゆる「第2期スーパーカー」の中から、フェラーリ テスタロッサ、フェラーリF40、ポルシェ959、ランチア デルタS4をピックアップしてお届けする。

ラリーシーンに向けたハイパフォーマンスモデルたち

ポルシェ959(1986~1989年)「モータースポーツの技術をそのまま投入したマシン」

画像: ●主要諸元 ポルシェ959:全長✕全幅✕全高=4260✕1840✕1280mm、ホイールベース=2270mm、車両重量=1450kg、エンジン種類=水平対向6DOHCツインターボ,総排気量=2850cc、最高出力=450ps/6500rpm、最大トルク=51.0kgm/5500rpm

●主要諸元 ポルシェ959:全長✕全幅✕全高=4260✕1840✕1280mm、ホイールベース=2270mm、車両重量=1450kg、エンジン種類=水平対向6DOHCツインターボ,総排気量=2850cc、最高出力=450ps/6500rpm、最大トルク=51.0kgm/5500rpm

FIA(国際自動車連盟)は、1982年に競技用車両の規定に、改造範囲の広いグループBの導入を発表した。ポルシェは、それに対応すべくタイプ930の911をベースに、電子制御クラッチを介して前車軸までプロペラシャフトを通し4WD化。運転状況に応じて前後のトルク配分を40:60から20:80まで可変する凝ったメカニズムを開発した。

同車は1983年のフランクフルトモーターショーでプロトタイプの「グルッペB」として発表。翌84年にはこれをベースにしたラリーレイド仕様車で総合優勝を飾った。その後、1986年にはポルシェ959の名で参戦。圧倒的な走行性能で総合優勝を決め、それを機に市販されることになった。
911同様リアオーバーハングに搭載されるエンジンは強制空冷(シリンダーヘッドのみ水冷)の2.8Lフラット6で、4バルブDOHC化されている。2基のKKK製ターボチャージャーをドッキングして450psを発生した。

特徴的なロングテール形状のスタイリングは300km/hを超える高速度域を追求して、CD値は0.31を達成。ボディはアルミ合金を多様し、軽量化に力を入れた。ホモロゲーション取得のために開発された959は当初200台限定生産の予定だったが、反響が大きく、最終的に292台が生産された。

ランチア デルタS4(1985~1986)「ランチアのWRCワークスマシンとして唯一無二の存在感を持つ」

画像: ●主要諸元 ランチア デルタS4:全長✕全幅✕全高=4005✕1800✕1400mm、ホイールベース=2440mm、車両重量=1170kg、エンジン種類=直4DOHCターボ+SC,総排気量=1759cc、最高出力=250ps/6750rpm、最大トルク=29.7kgm/4000rpm

●主要諸元 ランチア デルタS4:全長✕全幅✕全高=4005✕1800✕1400mm、ホイールベース=2440mm、車両重量=1170kg、エンジン種類=直4DOHCターボ+SC,総排気量=1759cc、最高出力=250ps/6750rpm、最大トルク=29.7kgm/4000rpm

ミッドシップのランチア ラリー037で1983年のWRCメイクスチャンピオンとなったランチアだが、時代は4WDに移っていた。そして次なるウエポンとして1985年末に世に送り出したのがデルタS4だった。ボディのシルエットはFF・2BOXの大衆車、ランチア デルタの面影を残すが、中身は全く別物となった。

ミッドシップ搭載されるエンジン1759ccの直4DOHC16バルブ。それにKKK製のターボとアバルト製のスーパーチャージャーが備えられた。ちなみに、この排気量は当時の規定で過給器係数の1.4をかけて2500ccに収めるためのもの。

パワースペックはストラダーレ(市販バージョン)で250ps/29.7kgmだが、WRC参戦マシンは最終的に600psを超えるレベルまで増強された。

1985年11月のRACラリーでデビューウインを飾ったデルタS4は、その後も大活躍を続ける。しかし、1986年のツール・ド・コルスで死亡事故を起してしまい、それがグループBによるWRCの終焉を招いたという面では悲運のマシンとも言える。

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