第四期スーパーカーは、「使える」ハイテク装備が満載になる!
ランボルギーニ ムルシエラゴ(2001~2010)「現代的な4WDスーパーカーとして存在感を増す」
アウディ傘下となったランボルギーニの第1弾が、2001年のフランクフルトモーターショーで発表された「ムルシエラゴ」(スペイン語でコウモリの意)だ。攻撃的なキャラクターを強調する斬新なデザインは、ランボルギーニのチーフデザイナー、リュック・ドンカーヴォルケによるもの。
パワーユニットは、ディアブロと同様のバンク角60度のV型12DOHC48バルブだが、ディアブロのものよりもストロークをアップすることで、排気量が6Lから6.2Lまで拡大されている。デビュー時のパワースペックの492psから580psへ、最大トルクは同じく580Nmから650Nmへと、大幅なパワーアップが図られている。
ディアブロとの大きな違いは、駆動方式がミッドシップ4WDだけになったことが挙げられる。また、ディアブロではカウンタックと同様に後輪を駆動するためのプロペラシャフトがオイルパン内を貫通していたが、それを車体右側に移し、潤滑方式をドライサンプ化してエンジン搭載位置を下げている。フロントの駆動に関してはトランスミッションが前方にあるという意味では取り出しやすく、合理的な設計だった。
トランスミッションもディアブロの5速MTから現代的な6速MTに変更された。後には「eギア」と呼ばれるセミオートマチックトランスミッションを採用。また積極的に前輪にも駆動力を配分する4WDシステムなど、メカニズムも野心に満ちたものだった。
ムルシエラゴはデビュー当初の6.2Lから始まり、2004年にはセミAT(eギア)搭載車やロードスター、2006年には6.5Lエンジンを搭載したLP640(最高出力640psから命名)と進化し、最終的には2009年に登場したLP670-4スーパーヴェローチェ(最高出力670ps)まで到達する。まさに新生ランボルギーニを強く印象づけるモデルとなった。
フェラーリ エンツォ・フェラーリ(2002~2004)「創業55周年を記念して製造されたスペシャルフェラーリ」
フェラーリは2002年の創業55周年を記念して、創始者でありコマンダトーレ(総帥)と呼ばれたエンツォ・フェラーリの名を冠したスーパースポーツカーを発表する。それがエンツォフェラーリだ。正式車名は「フェラーリ エンツォフェラーリ」なのだが、社名のフェラーリは付けずに呼ばれることが多い。
デザインは、当時ピニンファリーナに在籍していた「ケン・オクヤマ」こと奥山清行によるもの。明らかにF1グランプリマシンからインスピレーションを得たとわかるフロントノーズ。リアを見れば伝統の丸型テールランプが備わる。そして、スーパーカーの必須アイテムとなったバタフライドア(マクラーレン風にいえばディヘドラルドア)を備えるのが特徴だ。フェラーリがバタフライドアを採用したのは珍しい。
エアロダイナミクスにはスクーデリア フェラーリ(F1グランプリのチーム)のノウハウが生かされ、300km/hで走行中のダウンフォースは最大値がなんと775kgに達したといわれる。
コクピットの後ろに縦置きミッドシップマウントされたエンジンは、当時のフェラーリの主流であった65度のV型12気筒DOHC。可変吸排気バルブタイミング機構などF1グランプリで得た最先端のテクノロジーが投入され、最高出力は660psを発生しながら、低回転域のパワーを増強して幅広い速度レンジでのバランスが追求されている。
トランスミッションはF1マチックと呼ばれる6速のセミATを組み合わせるが、変速のタイムラグを極力排除するため、シフト時間はわずか0.15秒にまで短縮されている。
エンツォフェラーリは、F1テクノロジーが注ぎ込まれたスーパースポーツカーだったが、ただ高性能というだけでなく、ASRと呼ばれる車両姿勢安定制御機構(スタビリティコントロール)を搭載して、ロードカーとして極めて高い安全性を確保していた。
安全な超高速走行へのフェラーリの対応は、その後のスーパースポーツカー開発にとって見逃せない大きなポイントとなっていく。