オーバー1000psを果たしたハイパーカー
ブガッティ ヴェイロン16.4(2005~2015)「オーバー1000psを果たしたハイパーカー」
スポーツカーブランドとして20世紀初頭に名を馳せた「ブガッティ」。ロマーノ・アルティオーリによって1990年代に一度復活し、スーパースポーツカーのEB110を世に送り出したが、バブル景気の崩壊とともに消え去る。
紆余曲折はあったが、ブガッティのブランドはVWグループが獲得し、ブガッティ・オートモビルとして正式に復活したのは1998年。その最初の市販車が、ここで紹介する「ヴェイロン」だ。1999年のフランクフルトモーターショーで「シロン」の名で登場したプロトタイプは、1999年の東京モーターショーで「ヴェイロン」と名づけられたコンセプトカーに進化し、2000年のパリモーターショーで正式発表されたが、1億6300万円で発売されたのは2005年だった。
基本のデザインは、ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザイン。その車名は、1939年のル・マンをブガッティで制したレーシングドライバーのピエール・ヴェイロンに由来する。ちなみに、プロトタイプに名づけられた「シロン」もレーシングドライバーの名であり、後にヴェイロンの後継モデルに名づけられることになる。
ヴェイロンの正式車名は「ヴェイロン16.4」で、W型16気筒エンジン(狭角V8をさらにV型に配置する)に4基のターボを装着していることを意味する。総排気量は8L(正確には7993cc)で、最高出力は1001ps、最大トルクは127.5kgm(1250Nm)という強大なパワーを、7速DSG(DCT)を介して4輪で駆動する。
公称された最高速度は407km/hで、最高速度に達するためには空気抵抗となるリアウイングの自動展開をロックするため、いったん停車してブレーキを踏んだ状態で専用のキーを差し込まなければならない。さらにこれとは別に、高速走行に備えて最低地上高とリアウイングの高さを3段階に調整する機能も搭載されていた。
日産GT-R(2007年~)「マルチパーパス・スーパーカーを標榜して登場した日本の至宝」
2007年の東京モーターショーでスカイラインの冠を外した「GT-R」がワールドプレミアされた。それまでのスカイライン GT-Rは(第1世代も含めて)、高性能なスポーツカーではあったが、スーパースポーツカーとは呼び難いものであった。だが第3世代のGT-Rは、日本を代表するスーパースポーツカーでありグローバルカーとして企画され、カムバックを果たした。
スカイライン時代はストレート6にこだわってきたエンジンは、運動性も考慮して3.8LのV6ツインターボ「VR38DETT」へと換装された。プラズマコーティングボアシリンダーやエキゾーストマニホールド一体型ツインターボ等によって、3200~5200rpmの広いレンジで最大トルク588Nm(60kgm)を発生。最高出力は353kW(480ps)/6400rpmを実現した。
駆動方式こそ第2世代と同様のフロントエンジンの4WDではあるが、クラッチ/トランスミッション/トランスファーを車両後方に移動させ、リアファイナルドライブと一体化した世界で初めての「独立型トランスアクスル4WD」を採用している。新開発のGR6型デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を採用したことも注目された。
サスペンションはビルシュタインダンプトロニックを採用している。これは様々な走行シーンに対して、車両データから最適に電子制御されたショックアブソーバーの減衰力にアジャストされるものだ。ブレーキは、超大径のブレンボ製フルフローティングドリルドローターと高剛性ブレーキパッド、およびブレンボ製モノブロックキャリパー(フロント:6ポット、リア:4ポット)の採用で、安定した制動力と高い耐フェード性能を実現している。
世界中の自動車メーカーがテストを行うことで有名なドイツのニュルブルクリンク 北コースでのタイムアタックにも挑戦しており、2013年には当時の量産市販車で最速ラップタイムとなる7分8秒679を記録している。
2014年からは派生モデルとして「GT-R NISMO」をラインアップ。こちらも毎年進化を続け、2020年モデルでは最高出力を600ps、最大トルクを66.5kgmにまで高めている。