1.5Lクラスの常識を覆す?攻めたデザイン
1.5L直列4気筒エンジンを搭載しながら、全長4m未満のスタイリッシュSUV・・・意外にこれってレアな存在なのではないでしょうか。
同じ1.5Lクラスのガソリンエンジンを搭載することもあって、直接的なライバルとして真っ先に思い浮かぶのは、ホンダ WR-Vやトヨタ ヤリスクロスでしょう。WR-Vの場合は出自が同じインド、というご縁もあります。
ただしボディサイズを数値で比べると、この2台はフロンクスよりかなり大柄であることがわかります。
細かい数値は写真でご紹介しますが、おおよそ200~300mmに達する全長差(フロンクスが短い)に加えて、ホイールベースの差(およそ40~120mmフロンクスが短い)も大きめです。全高の差(約40~100mmフロンクスが低い)はさらにわかりやすい。
そもそもクラスに関係のないところで強さとか逞しさとか広さとかのアピールが求められる「SUV」をコンパクトするには、いろいろと成約があります。だからと言って「パッケージング」にこだわり過ぎると、四隅を徹底的に使い尽くすべく重箱の隅をつつくように広げまくった結果の・・・まあ、少々没個性な形が出来上がりかねません。
ところが、実車と対面した時の第一印象は、シンプルに「これはけっこうカッコいいかも!?」でした。わかりやすさという意味でも、なかなかに「攻めたデザイン」です。
コンパクトなのにしっかりSUV。実用性でもメリット大
前後のオーバーハングは極端に短く、シルエット的には余分なところをスパっと断ち落としたマッシブなもの。オーバーではないレベルでほどよくエッジやプレスラインを配することで、しっかり「張り出し感」が表現されています。
最近は「余分なプレスラインを削る」方向で上質感を演出する手法が注目されていますが、フロンクスの場合は「盛る」テクニックが、なかなか巧みです。
正直、これでトヨタ ライズ(1.0~1.2Lクラス)と同じ全長なの!?と驚いてしまいました。一方で全体的なグレード感がより高く見えるのは、比較的ワイドな全幅(1765mm。これはライバルとほぼ一緒)が効いているのでしょうか。
思えば「ジムニー」や「ワゴンR」など、軽自動車という極めた限られたサイズの中でとびきり個性的なクルマたちを生み出してきたスズキだし。ある意味、フロンクス開発にあたって与えられたさまざまなお題(課題)もまた、「得意科目」だったのかも。
付け加えておくと、最小回転半径はわずか4.8mでライズ(4.9m~)よりも小回りが得意。おかげで狭い駐車場でも大丈夫。ほとんどの立体駐車場にも入れられる車高なので、文字どおりどこに乗っていっても安心できます。そういった「機動性の高さ」もまた、SUVというジャンルに求められる才能のひとつかもしれません。
開発者によれば、こうした絶妙なサイズ感と優れたデザイン性、実用性のバランスは発売前からオーナー予備軍に非常に高い評価を受け、非常に好調な受注に結び付いているのだそうです。