2024年11月21日、ホンダは量産化に向けて独自に研究開発を進めている全固体電池のパイロットラインを、栃木県さくら市の本田技術研究所(栃木Sakura)の敷地内に建設し、このたび初公開した。
2025年1月から稼働開始を予定
ホンダは、2050年までに全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルの実現を目指しており、2040年までにEV(電気自動車)・FCEV(燃料電池電気自動車)の販売比率をグローバルで100%にする目標を掲げている。全固体電池は、エネルギー密度が高く高温に強いという特長を持っており、EVの航続距離や価格、充電時間などの課題を解決する次世代の電池として期待されている。
ホンダは、全固体電池の量産プロセスの確立に向け、量産で必要な一連の生産工程を再現したパイロットラインを建設した。パイロットラインの延床面積は約2万7400平方メートルで、電極材の秤量・混練から、塗工、ロールプレス、セルの組み立て、化成、モジュールの組み立てまでの各工程の検証が可能な設備を備えている。2024年春に建屋を竣工し、現時点で検証に必要な主要設備の搬入をほぼ完了している。
このパイロットラインは、2025年1月の稼働開始を予定しており、各工程の量産技術や量産コストなどの検証を行いながら、並行してバッテリーセルの基本仕様を開発・決定し、2020年代後半に投入する電動モデルへの搭載を目指している。
ホンダは、従来の液体リチウムイオン電池の製造プロセスをベースにしながら、全固体電池特有の工程となる固体電解質層の緻密化に寄与し連続加工が可能な、ロールプレス方式を採用することで、電極界面との密着性を高めるとともに生産性の向上を目指している。