メルセデス・ベンツ ミュージアムのコレクションから、ちょっと気になるモデル、1964年式の230SL「パゴダ」を紹介しよう。

そのニックネームの由来は、アジアの寺院から

画像: 内側にわずかにカーブしたハードトップが、「パゴダ」というニックネームの由来だ。

内側にわずかにカーブしたハードトップが、「パゴダ」というニックネームの由来だ。

W113シリーズのメルセデス・ベンツ SLには「パゴダ」というユニークなニックネームが付けられている。メルセデス・ベンツの元チーフデザイナーであるブルーノ・サッコは、この「パゴダ」というニックネームはイタリアで初めて付けられたと振り返っている。

この「パゴダ」というニックネームは、このスポーツカーの特徴である、アジアの寺院を思わせる内側にわずかにカーブしたハードトップに基づいている。この形状をデザインしたのは、1957年3月にジンデルフィンゲン工場の「車体開発主管部」の最初のデザイナーとなったポール・ブラックである。

パゴダ・ルーフは、スポーツカーのイメージとデザインに幸運をもたらした。そしてもちろん、全体的なデザインの非常にシンプルで軽快な明確なラインが、表現力豊かなエレガンスを生み出している。数十年経った今でも、ブラックはW113のデザインを「完璧」と評している。

画像: 左にタコ、右にスピードの大径2眼メーターを備えたインストルメントパネル。

左にタコ、右にスピードの大径2眼メーターを備えたインストルメントパネル。

そして、フロントとリアにクランプルゾーンを備え、その間にカスタマイズ可能なパッセンジャー コンパートメントを設けたボディのコンセプトは革新的だった。1959年、メルセデス・ベンツのW111シリーズ セダンが、この安全な衝撃吸収ボディを備えた世界初のクルマとなった。これは1963年に登場したこの新型SLにも採用され、それはスポーツカーの世界では画期的な出来事となった。

このSLがミュージアムのレジェンドルーム5「先駆者たち-1960年から1982年までの安全性と環境」に展示された理由は、ここにあるのだ。

1963年3月14日から24日まで開催されたジュネーブ モーターショーが、W113シリーズの最初のバージョンである230SLの初公開の場となった。2.3Lの直列6気筒エンジンを搭載し、最高出力110kW(150ps)を発揮するロードスターは、挑戦的な遺産を引き継いだ。

つまり、190SL(W121)と300SLロードスター(W198)という2つの先代モデルに代わるもので、この両車はデビュー当初から非常に高い人気と成功を収めていた。300SLは、1954年から生産されたガルウイングのクーペで、既に伝説的なモデルとなっていた。

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