2024年11月3日に神奈川県横浜にあるヒョンデの「ヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンター横浜」を中心に開催された韓日ヒョンデオーナー交流会では、国境や言葉の壁を越えたオーナー同士によるクルマ文化交流が展開されていた。本記事シリーズ最終回の今回は、今後も続くであろうイベントの模様をお伝えしていこう。

韓日ヒョンデオーナー交流会の記事一覧
【第1回】ヒョンデが世界第3位の自動車メーカーである理由は「クルマの良さ」だけではない。韓日ヒョンデオーナー交流会で感じたヒョンデの強さ
【第2回】ヒョンデのオーナーズクラブが国境を越えたクルマ文化の交流。世界中でファン層が拡大中
【第3回】韓日のオーナーが教えてくれたヒョンデのクルマ、ブランドとしての魅力、そして日本で拡張していくサービス展開とは
【最終回】総勢46名による韓日ヒョンデオーナー交流会。直接会うからこそできる、クルマ文化交流は今後も続くファンサービスに

テクニシャンの作業がひとつのコンテンツ

釜山から約700km、19時間の船旅、そして大阪から京都を経て高速道路を中心に約500kmにおよぶロングドライブを遂行した韓国のヒョンデオーナーたちは神奈川県・横浜に到着。ヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンター横浜(以下、CXC横浜)、そしてパシフィコ横浜 国際交流ゾーン プラザ広場で開催された韓日ヒョンデオーナー交流会で、日本のオーナーと親交を深めることになる。

2024年11月3日に開催されたこの交流会は、Hyundai Motor CompanyとHyundai Mobility Japanのコラボレーションにより立ち上げられたイベントで、独自のブランド価値観を共有するユーザーの輪を広げる、ファンサービスの一環で開催されたもの。韓国人14名、日本人32名、合計46名という大勢の参加者により賑わいを見せていた。

その開会を前に、まず行われていたのはCXC横浜の責任者 関根隆行氏による韓国からの参加者への館内案内だ。

このショールームは、BEV(電気自動車)やFCEV(水素電気自動車)といった走行中にCO2を排出しないZEV(ゼロエミッションビークル)を販売する日本のヒョンデらしく、インテリアにはリサイクルできる素材によるコンクリートパネルや木毛セメントボードなどを採用して、サステナブルなイメージを表現。また、ダイレクト販売を主軸にする日本市場だからこそのデザインと機能があると関根氏はいう。

「韓国のHyundai Motor Companyと日本のメンバーが共同で設計した、韓日の想いが詰まった特徴的な建物です。アジアパシフィックやドイツでデザイン賞も獲得(※)しています。また、サービスワークショップはガラス張りのショールームや2階のラウンジからよく見えるように設計されています。これはダイレクト販売ゆえにアフターサービスを心配されるユーザーに安心してもらうため、ワークショップ内で行われる“テクニシャンによる作業”をひとつのコンテンツとしているのです」と、ガラスを多用した明るい空間である所以を解説していた。

※2024年1月、アジアを代表するデザインアワード「第31回 Asia Pacific Interior Design Awards(APIDA)」のShopping Space部門にて銀賞を受賞。同年3月、ドイツに拠点を置く世界的なデザインアワード「iF デザインアワード2024(建築部門)」を受賞。

日本より販売比率が高い、韓国のBEV販売事情

開会式を兼ねた交流懇談会では、韓国のオーナーズクラブ代表と日本のIONIQ 5のコミュニティサイト管理人がそれぞれの活動内容を紹介。ジェネシス GV80で来日したヒョンデモータークラブのキム・ジュヒョン会長は、オーナーズクラブとメーカーとの強い関係性を紹介。

「ヒョンデモータークラブは2014年に始まった同好会で、オーナーズミーティングのほかに社会貢献プログラムやレーシングチームの運営なども行っています。大きな特徴は、ヒョンデとユーザーが良質な関係を築くサポートをしていることです。全国を回りながら新車試乗会を開催して、体験した人から聞いた要望や優れている点などの意見をHyundai Motor Companyや開発チームと共有しています」と活動内容を紹介。日本ではあまり例のない、ファンとメーカーの密接な距離感を感じさせるエピソードだ。

一方、X(旧Twitter)のコミュニティ「IONIQ情報館」を運営している、辻榮亮(つじえ・りょう)氏は「ヒョンデが日本市場に再参入すると聞いたとき、クルマの情報を集めるために立ち上げたのがIONIQ情報館でした。今後は情報収集するだけでなく、こちらからブランドの魅力やクルマの良さを発信するコミュニティにしていきたい」としたうえで、「今度は日本のオーナーたちが韓国を訪問、ドライブやファンとコミュニケーションできる機会を作りたい」と期待を話していた。

韓国のオーナーから日本のオーナーへ、逆に日本のオーナーから韓国のオーナーへ質問するコーナーでは、お互いの国の自動車事情、BEV事情について活発な意見交換が行われた。そのなかで興味深かったのは、日本の参加者から韓国のBEV事情について「日本市場でBEVの販売比率はまだ低く、また若者によるクルマへの興味も薄まっています。韓国でBEVはどのような認識をされていますか?」という質問への回答だ。

「Hyundai Motor Companyは韓国政府と協力してBEVの利便性を高めるため、充電インフラの拡充に重点を置いて活動しています。そして韓国の若者はBEVのメリットもデメリットも理解した上で、“環境に優しいクルマに乗ること”を重要視しているようです」と若者による環境意識の高さを挙げていた。

直接会って話したからこそできた、韓日クルマ文化の交流会

そして会場を横浜みなとみらいにあるパシフィコ横浜へ移すべく、首都高速・ベイブリッジを走る開放感あるルートをドライブ。

パシフィコ横浜では、みなとみらいハーバービュー【ATTIMO】での食事会や国際交流ゾーン プラザ広場でのカーミット懇談会と、韓日オーナー入り混じっての自由懇談の場となったが、やはり盛り上がりを見せていたのは、本記事第3回でも記したヒョンデ キャスパー(日本導入名称:インスタ―)の談義だ。2025年春にBEV仕様を日本に導入するという報を知って、気になる人が多い印象だ。

そのほかにもユーザー同士で記念撮影をしたり、インタビューの風景を動画で撮影、お土産を渡したり、またSNSを交換する姿も見られて韓日の交流がこの場だけにとどまらず、今後も続いていくであろう様子は嬉しくもあった。

その後、記念写真を撮影、プレゼント交換、また次回の韓日ヒョンデ オーナー交流会開催を約束するというHyundai Mobility Japan マーケティングコミュニケーションチーム長 佐藤修二氏による閉会の言葉で幕を閉じたのだが、その後もオーナー同士の会話が収まらず1時間近くプラザ広場にとどまっていた姿は感慨深かった。

そして今、イベントを終えて今回の記事4本を制作するにあたり、大阪→横浜への移動や韓日ヒョンデオーナー交流会で取材した様子をボイスレコーダーを聴きながら、写真や映像を見ながら思い出していたが、振り返ってみるとヒョンデのブランドやクルマについてネガティブな話がひとつも聞こえてこなかったことに気づいた。好きなブランドやクルマであれば一家言あると、気になることを吐露したくなりそうなモノ。

ファンだから、イベントに招待されたから・・・そんな理由でポジティブな話をしてくれたと考えることもできるが、本当にそうだろうか。

今回の取材で聞いたクルマの良さ、サービスの豊富さ、ファンを喜ばせるイベントなどのほかにも、オーナーを魅了する「なにか」がきっとあるはずだ。日本市場に再参入して2年、まだヒョンデの魅力を理解しきれていないのかもしれない。2025年春に日本にやってくる新型BEVのインスターに触れ、その上で次回も開催されるであろう韓日ヒョンデオーナー交流会ではもっとじっくりオーナーの話を聴きたい、その魅力を深掘りしたい。そう考えさせられたイベントだった。

韓日ヒョンデオーナー交流会の記事一覧
【第1回】ヒョンデが世界第3位の自動車メーカーである理由は「クルマの良さ」だけではない。韓日ヒョンデオーナー交流会で感じたヒョンデの強さ
【第2回】ヒョンデのオーナーズクラブが国境を越えたクルマ文化の交流。世界中でファン層が拡大中
【第3回】韓日のオーナーが教えてくれたヒョンデのクルマ、ブランドとしての魅力、そして日本で拡張していくサービス展開とは
【最終回】総勢46名による韓日ヒョンデオーナー交流会。直接会うからこそできる、クルマ文化交流は今後も続くファンサービスに

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