軽快なハンドリングと上質な乗り心地を両立
実際にドライブしてみると、たしかにライバルのEVに比べて軽い。そして前後重量配分の適正化も手伝って、キビキビ感がある上、乗り心地も良好だ。ロール剛性を高めるため、リアサスのビームを100mmほど後方に移設したおかげで、ロールも比較的抑えられている。運転していて楽しいドライブフィールだ。
加速フィールにもドライビングプレジャーを感じさせる。EVらしく踏んだ瞬間から力強く加速し、高速域ではEVらしからぬ高性能ガソリンエンジン車のように伸びやかな加速を示す。この感覚はこれまでのEVにないものだ。もうひとつ感心したのがブレーキフィール。油圧ブレーキと比べても遜色ないほどリニアで、回生の抜け方もかなり自然に仕上がっている。
ところで100Wh/kmという電費(交流電力消費率)は、いま国内最高を競うホンダ フィットEV(106Wh/km)やトヨタ eQ(104Wh/km)をしのぐ数値だ。ところがマツダは、ことさらそれをアピールしていない。開発陣によると、前述の競合車は型式認定を取得しているが、デミオEVは改造車扱いなので、土俵が違うとのこと。それでも達成は事実なので、トーンを上げて伝えておこう。
このデミオEV、中国地方の自治体や法人顧客を中心に約100台をリース販売する予定だという。ライバルと比べても出来が良いだけに、一般向けの販売にも期待したいところだ。(編集部註:デミオEVはリース販売のみで一般向けには販売されませんでした)
マツダ デミオEV 主要諸元
●全長×全幅×全高:3900×1695×1490mm
●ホイールベース:2490mm
●車両重量:1180kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:75kW(102ps)/5200-12000rpm
●最大トルク:150Nm(15.3kgm)/0−2800rpm
●バッテリー総電力量:20kWh
●JC08モード航続距離:200km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:175/65R14
●当時の車両価格(税込):357万7000円(リース販売のみ)