REDSと呼ばれる加工技術で「差」をつける
歴代のレクサスの中ではもっとも小さなモデルとなるLBX。ここにGRヤリスの開発で得た知見を組み合わせながら、大人の嗜好にも耐えうる動的質感を磨き上げたらどんなクルマができるだろうか。MORIZO RR(以下、RR)は、意匠のみならずエンジニアリング面でも、そういった「クロスオーバー」を試みたモデルだ。
その礎となる車台は、LBX専用の環状構造を用いたモノコックをベースに、床面を中心とした構造用接着剤塗布長の延長、ロアバックパネルの板厚アップやラジエーターロアサポート/ダッシュカウル部の強度アップ、リアへのパフォーマンスダンパー採用、469箇所のスポット打点増しなど、これでもかと固められている。
前側の足まわりはそもそもLBX専用に開発されているが、そのロアアームに加えられたのがREDSと呼ばれる加工技術だ。これはプレス曲げの凹部を埋めるように接着した樹脂を焼結硬化させることで、応力変形によるジオメトリー変化を抑えるというもの。
RRのように生産量が限られワンオフパーツが奢れないモデルの補強用として、コツコツと開発を重ねてきたものだという。また、リアサスペンションはGRヤリスも用いるダブルウイッシュボーンをRR用に最適化しており、ゴム類を含めた減衰特性はまったくの別物だ。
エンジンはGRヤリスやGRカローラにも採用されるG16E-GTS型を搭載。1.6L直3ターボはそれらと同じ304ps/400Nmのアウトプットをもつ。ドライブトレーンは電子制御フルタイム4WDで前後50:50の駆動配分固定モードを備えるが、前後にトルセンLSDを配する点は、急旋回のためにリアをオープンデフとしているGRヤリスと異なる。
それでもレクサス初となる6速MTモデルには、レバー比を見直して操作力を軽めにした手引きのサイドブレーキを備えるなど、遊ぶためのツボはしっかり押さえている。ほかに直近でGR系のモデルにも採用された8速ATモデルも用意されるが、そのシフトマネジメントはもちろんRR専用だ。