氷や雪に覆われたステージも多い難解なラリー
今週末に行われるラリー・モンテカルロは、厳寒期のフレンチアルプスの山道を舞台とする伝統の一戦。基本的にはターマック(舗装路)イベントだが、舗装路面が氷や雪に覆われたステージも多くあり、天候も変わりやすいため、WRCの中で最も過酷なイベントのひとつと言われている。路面の状態が変わりやすいためタイヤ選択も非常に難しく、ドライ用、ウエット用、雪道用のスタッドレスタイヤ、金属製のスタッド(スパイク)が埋め込まれたスタッドタイヤなど、様々なタイプのタイヤが用意される。
サービスパークは、昨年と同様、フランス南部ギャップに置かれ、ラリーの開幕を華やかに祝うセレモニアルスタートはモナコ中心部のカジノ広場で開催。木曜日の午後モナコを出発したマシンは、遠く離れたギャップのサービスパークを目指しながらデイ1として3本のナイトステージを走行。競技初日から、路面凍結の可能性もある合計54.16kmの夜間ステージと対峙することになる。
金曜日のデイ2は、ギャップの東側と北側のエリアで、ミッドデイサービスを挟んで3本のステージを各2回走行。土曜日のデイ3も同様のフォーマットで行われ、ギャップの西側エリアで3本のステージを各2回走行する。
最終日となる日曜日のデイ4は、早朝ギャップのサービスパークを出発した後、木曜日の夜にSS1とSS3として走行した2本のステージを再走。その後、有名なチュリニ峠のコーナーを含む最終のパワーステージ、SS18「ラ・ボレーヌ=ベジュビー/ペイラ・カヴァ」を経て、モナコでフィニッシュを迎える。
4日間で18本のステージを走行し、その合計距離は343.80km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1629.37kmが予定されている。
トヨタはロバンペラ、エバンス、オジェの必勝体制でのぞむ
昨年のラリー・モンテカルロでは、ティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)がセバスチャン・オジェ(トヨタ)、エルフィン・エバンス(トヨタ)を抑えて優勝。悲願のドライバーズタイトル獲得に向けて好発進を切り、そのままシーズンを突っ走るきっかけとなった。
昨年はステージ上には雪が少なくスリックタイヤで走ったため、峠の頂上付近にわずかに残ったブラックアイスや霜でのグリップ変化が多くのドライバーを悩ませた。
【参考】2024年 WRC開幕戦ラリー・モンテカルロ 結果
1位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1 )3h09m30.9s
2位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+16.1s
3位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+45.2s
4位:O.タナック(ヒョンデ i20N ラリー1)+1m59.8s
5位:A.フルモー(フォード プーマ ラリー1)+3m36.9s
6位:A.ミケルセン (ヒョンデ i20N ラリー1)+5m34.6s
7位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+8m28.5s
8位:J.ロッセル (シトロエン C3 ラリー2) +10m29.8s
9位:P.ロペス (シュコダ ファビアRS ラリー2) +10m33.8s
10位:N.グライジン(シトロエン C3 ラリー2)+10m45.2s
今年のラリー・モンテカルロには、トヨタは全戦出場のカッレ・ロバンペラとエルフィン・エバンスに加えて、パートタイム参戦のセバスチャン・オジェの3台がマニュファクチャラーズ対象として参戦。ヒョンデはティエリー・ヌーヴィルとオイッット・タナックに加えて、新進気鋭のエイドリアン・フルモーが出場する。